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2025年04月07日23:03

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「HERE」感想

 これは、「フォレスト・ガンプ/一期一会」のロバート・ゼメキス監督が、トム・ハンクス&ロビン・ライトと再び組んで送り出す壮大な物語。
 ある地点にカメラを固定し、紀元前から現代までカメラの視点で生きるものたちを映し出す。
 原作は、アングレーム国際漫画フェスティバル最優秀作品賞を受賞したリチャード・マグワイアのグラフィック・ノベル「HERE」。
 本作は、アメリカでは昨年劇場公開されたのだが、観客からは酷評され、「ロバート・ゼメキスもお終いだ」となったばかりか、「もう20世紀の監督の時代じゃない」と言うムーブメントを生み出し、結果、クリント・イーストウッドの「陪審員2番」の劇場公開を断念させてしまった、と言う、ある意味での話題作。だが、「陪審員2番」が劇場公開されなかった日本では、何故か劇場公開される事になった。

 これは、「HERE(そこ)」で何が起きたのかを描く物語――物語の始まりは遥かなる太古……恐竜が滅び、新生代を迎え、悠久の時の流れの果てに人類が生まれる。
 そこに家が建ったのは1907年、いくつもの家族が入居しては出て行く――1945年、戦地から帰還したアルと妻のローズがその家を購入し、やがてリチャードが生まれる。絵の得意なリチャードはアーティストになることを夢見ていたが、マーガレットと出会って恋に落ち、彼女を妊娠させてしまったリチャードは進学を断念して就職、その家で父母と暮らす事になって……

 この映画、なかなか野心的な作りで、カメラはある地点に固定され、完全にフィックス。動くのは時代で、太古の森に始まり、切り開かれて道が出来、そこに家が建って、そこからはその家のリビングルームを写し出す、と言うものになる。主になるのはリチャードの一生となるのだが、それと並行して8つの時代と6組のカップルが繰り広げる7つのエピソ−ドが次々に入れ替わり、時に重なりながら物語を紡いで行くものとなる。
 物語は壮大だし、映画としても、まぁ、悪くない――これは、謂わばゼメキス版の、判り易くて感動もある「ツリー・オブ・ライフ」と言う処になるだろうか……

 勿論、ロバート・ゼメキスだけに、無茶苦茶凝った作りだし、作り込みも申し分ない。
 しかも、主演のトム・ハンクスとロビン・ライトは、リチャードとマーガレットが18歳の頃から、80歳になるまでをひとり演じているのだ。VFXで、髪型から顔立ち、体形までも年齢に合わせて変えているのだが、その自然な仕上がりには驚くしかない――もっとも、声が今のトム・ハンクスのままなので、18歳にしては貫録在り過ぎだろう、とかは思ってしまったが……

 しかし、本作はアメリカ史に対する広範な知識を求め、7つのエピソードが、説明抜きでランダムに、しかも、入り組んで、重なりながら画面に出て来たりするので、画面から目が離せず、高度の集中力を観客に要求するなど、これは確かに拡大公開する映画ではないだろう。例えばA24製作のアートフィルムを楽しめる観客ならば別だろうが、大半の観客はそうではない、と言う事を理解すべきだし、この映画の低評価はそこに原因があるように思う。
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