これは、多くの漫画賞を受賞したヤマシタトモコによる同題コミックを、「PARKS パークス」の瀬田なつき監督が実写映画化したもの。
出演は「正欲」の新垣結衣と、本作のオーディションで選ばれた新星・早瀬憩がW主演。他、夏帆、瀬戸康史など。
両親を交通事故で亡くした15歳の朝。突然のことに涙さえ流れず、朝は呆然としたまま葬式に参列する。葬儀の席での朝に対する親戚らの他人事のような態度に、朝の叔母の槇生は、「うちにおいで」と言ってしまう。
槇生は、姉で、朝の母の実里とは子供の頃から折り合いが悪く、最近では会う事さえなかったし、極度の人見知りで、「他人と同居など出来ない」と独身を貫いて来たが、誰も引き取ろうとしない朝と同居することをその時決めたのだった。
こうしてほぼ初対面の2人の共同生活が始まったのだが……
原作漫画は11巻になると言うが、映画はそのうちの7巻くらいまでを描くものらしい。勿論、漫画をそのまま映画にしようとするなら、2時間もので漫画3巻が限界、と言うのが定説であり、映画は、かなり思い切った脚色をしているようだ――たとえば、朝の父親の描写は殆ど省略され、父方の親戚なども登場しない……いささか不自然ではあるが、父母を失い、居場所をなくした朝の、居場所作りを、槇生との関係性を通して描く、と言う映画の中心となる部分を重視した、と言う事であれば納得するしかない。
そんな朝を演じた早瀬憩は、正に子供から大人の狭間にいる朝を、その全身で好演している。だが、本作で、中心となる存在感を見せるのは、やはり、槇生を演じた新垣結衣。人付き合いが苦手で、活性と体温が低そうな槇生は。正に新垣結衣の素が生きる役だったのではないだろうか?「ガッキーには、もっと明るく楽しい映画に出て欲しい、人間ドラマなど安藤サクラか江口のりこに演らせておけばいい」と言う声もあるが、それでも、この役はハマリ役だと思う。
映画は、槇生が「柔らかな年頃」と言う朝と、手探りのように少しずつ人間関係を築いて行き、その中で、映画に殆ど登場しない、朝の母・実里と言う人物が形作られて行く、と言う巧妙な構成……その中で、しっかり朝の成長が描かれて行き、何処か閉塞していた槇生の暮らしも変わって行く、と言うもの。
ドラマチックな展開がない事を物足りなく感じる人も少なくないだろうし、自分自身、もう少し踏み込んだ部分が欲しいな、とも思うが、それでもこれはなかなか見応えあり。
優しくて、和かな、いい映画だった、と思う。
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