これは、福本伸行・原作&かわぐちかいじ・作画の同題漫画を「カラオケ行こ!」の山下敦弘監督が映画化した異色の密室サスペンス。
出演は「渇水」の生田斗真、「あゝ、荒野」のヤン・イクチュン。
大学の山岳部のOBで親友同士の浅井啓介とリュウ・ジヨンは、16年前、卒業登山中に行方不明となり、遭難死したとされる同級生の西田さゆりの17回忌となる慰霊登山中、猛吹雪によって身動きがとれなくなる。
脚に大怪我を負い、死を覚悟したジヨンは、さゆりの死の真相について、「自分が殺した」と告白する――だが、その直後、浅井は眼前に山小屋がある事に気づき、ふたりは一命を取り留める。
山小屋から救助を要請し、救助隊の到着を待って一夜を過ごす事になったふたりの間には、ジヨンの告白により気まずい空気が流れて……
これは、独特の間を持ち味に、オフビートな笑いが魅力の山下敦弘監督による、密室ヒューマンサスペンス。だが、これは色々な部分に至らなさがあり、残念な映画となっていた。
まず、浅井とジヨンの友人関係や、実生活の様子など、バックグラウンドが描かれておらず、どうにも物語に入っていけないし、山小屋に避難して、早々に“気まずい空気”を飛び越え、「ジヨンが何か企んでいる、俺を殺そうとしているのでは?」に至る浅井のモノローグも唐突に感じた。
さゆりの人物像も通り一遍で、どうにもジヨンの「告白」に重みが出て来ないのだ。
その一方で、中盤、ジヨンがまるでゾンビのような振舞いを見せ、ホラーチックな展開になるなど、後半はかなりドタバタし、密室における心理サスペンスからは大きく逸脱する印象――もっとも本作は最後のオチを見れば幽霊譚でもあり、ホラーチックとなるのもありとは思うが、どうにもとりとめのない印象を受けた。
主演の生田斗真は悪くはないが、彼の抱える秘密を思うと物足りなくもある……岡田将生なら、とも思ったが、それだと露骨になりすぎるだろうか。競演となるヤン・イクチュンも大熱演で、その演技だけで映画を韓流にしてしまうのはさすが、と言うしかない。
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