を読んだ。池波正太郎著
雷神
落合孫六は二日酔いの古狸のような風貌だったが、秋山小兵衛が育てた中でも5本の指に入る剣客だった。
その孫六からなれ合い試合をしてもよいかと聞かれ、それを許した小兵衛だったが、その試合の審判を務めることになり・・・。
なんだかのほほんとした話で、落ちも平和な感じでこういうのもなかなかよい。
箱根細工
同門だった横川彦五郎が身体を壊していると聞いた小兵衛だったがもうすぐ家が完成することもあって多忙で、見舞いを大治郎に頼んだ。
しかし彦五郎のみすぼらしい道場には人気がなく、通りかかった人に聞けば箱根に湯治に行ったという。
箱根に向かった大治郎だったが、道中相当な腕を持つと思われる剣客と行き当たり・・・。
ちょくちょく出てくる大治郎の旅のエピソードがいつも当時の旅の趣が伝わってきて魅力的。
温泉での件などは映像的な面白さも。
夫婦浪人
宗哲老先生のところで碁を楽しんだあと、鬼熊酒屋に寄った小兵衛はそこで男同士の痴話喧嘩に遭遇する。
また大治郎が諸国をまわって修行していた折、大坂天満で世話になった柳嘉右衛門の門人だった高野十太郎が仇を探していたが、その助っ人が痴話喧嘩をしていた2人の内の1人だった。
どうやら捨てられようとしているもう1人は見た目も不細工でこ汚い男だったがなんとなく小兵衛と話をするようになり・・・。
ユーモラスなような、切ないような、何とも言えない話。
天魔
小兵衛が昼寝しているところに現れた矮躯の笹目千代太郎という男は、その昔小兵衛が剣術の修業をするように男の父親に勧めたほどの身体能力の持ち主だったが、今や道場を破っては人を殺してまわる怪物と化していた・・・。
千代太郎の怪物感がすごい。
そして千代太郎のすごさを描くだけ描いた末に決闘シーンが始まるんだから盛り上がらないわけがない。
約束金二十両
明神社の境内に立ち会いをして勝てば3両いただくという立て看板を見つける三冬。
書いた者は雲弘流を名乗っていたが、62歳とも書かれていた。
興味を持った三冬と大治郎が訪ねてみると、予想以上にみすぼらしい老人だったがその腕は・・・。
雲弘流平内太兵衛重久のキャラクターが滅茶苦茶すぎてかっこいい(笑)
そして二十両を稼ごうとしている理由とその顛末が愉快すぎて、読んでいて思わずにやけてしまった。
冒頭からも小兵衛がおはると仲良く栗の皮をむいているとか、とにかくにやけてしまう話(笑)
鰻坊主
初めて1人で鬼熊酒屋に入って酒を飲んでいた大治郎だったが、そこにやってきた薄汚れた坊主を見て寝たふりをする。
坊主は店の前で五十両を拾ったので落とし主を待つと言い、やがて現れた落とし主から礼金五両をもらって姿を消したが・・・。
素晴らしくスマートな詐欺(笑)
この詐欺は応援したくなってこれまたにやけてしまう(笑)
またこの話ではあとの話にも尾を引く○饅頭という台詞が・・・(笑)
突発
新しい煙管を作ってもらおうと馴染みの煙管師のところへ向かう小兵衛だが、その時件の煙管師は死にかけて・・・いると思いこんでおり、その女房と医者はできていた。
ところがそこに関係ない斬り合いの2人が絡み・・・。
なんだか滅茶苦茶な話。ちょっと後期の少年版夢幻紳士を思い出した(笑)
小兵衛もご飯まで食べさせてもらってから言い出すのが人が悪すぎる(笑)
老僧狂乱
大治郎が昔腹を壊して行き倒れそうになっていたところを助けてくれた坊主が川に身を投げて自殺しようとしているところに行き当たり、なんとか助け出すが、その無覚和尚は寺の修繕のために集めていた百両を奪われてしまっており、生きる望みを失っていた。
大治郎から話を聞いた小兵衛はなんとか百両を工面するが・・・。
なかなか意外な展開。
そしてまだ爪痕を残す○饅頭(笑)
すっかりシリーズが軌道に乗ってコメディー要素も強まってきたか、とにかく楽しくてにやけてしまうので、1人で飲みに行ってカウンターで飲みながら読んでいたらますますにやけた(笑)
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