日曜午後、ブルク13で、
「ザリガニの鳴くところ」。
これは、動物学者でもあるティーリア・オーエンズによる同題のベストセラー小説を映画化したもの。
原作にほれ込んだリース・ウィザースプーンが製作を務め、テイラー・スウィフトが楽曲を書き下ろしている。監督には、NETFLIXの配信作「ファースト・マッチ」で長編デビューしたばかりの新鋭、オリヴィア・ニューマンが抜擢された。
1969年、南部アメリカ・ノースカロライナの海岸沿いの湿地で、裕福な家庭の青年、チェイスの変死体が発見される。
事故か殺人かもはっきりしないうちに、警察は、町の人々から“湿地の娘”と呼ばれるカイアを容疑者だと決めつけて逮捕する。
カイアは6歳の時に両親に捨てられ、学校にも通わず、自然豊かな湿地の中、ひとりで生き抜いてきたのだった。
殺人事件の容疑者としてカイアを審判する裁判の中であらためて示される彼女の人生と、町の人々との関係……また、カイアにはアリバイがあり、殺人の証拠も見つからない。
そして、下された判決は……
この映画だが、チェイスの死を冒頭に描き、その死因を巡る法廷劇でもあるのだが、この構成には疑問を覚えた――チェイスの死については最後まで明かされない謎もあり、法廷劇としては成立していないように思える。また、チェイスをはっきり悪役として描いていて、裁判での緊張感を削ぐと共に、この映画のもうひとつの側面であるラブストーリーとしても、カイアの初恋の人に対する恋敵になり得ていないなど、展開や設定がぎくしゃくしている。
この物語のテーマとなるのは、湿地の中でひとり育った娘が示す、本来、生き物が備えるべき(それにはいささかの美化と誇張があるが)美しさと強かさであり、それならば、他にもっと描きようがあるのではないか、と思う……終盤、台詞で語られる生物は子孫を残す為、雌が雄を食い殺す事もあるし、捕食者に対し獲物が逆襲をする事もある……最後のドンデン返しの伏線として、湿地に住まう生き物の美しい姿だけでなく、生存競争の厳しい姿を描くだけでも大分違ったのではないだろうか?
舞台となる湿地帯の風景には魅力があり、カイアを演じたデイジー・エドガー=ジョーンズも、その魅力を存分に発揮している――もっとも、“沼の娘”らしさを見せていたのは、幼年期のカイアを演じたジョジョ・レジーナの方だと思うが……それだけに、本作を出来の悪い法廷劇にしてしまいかねない構成が惜しまれる。
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