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2022年10月31日23:51

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土曜は……

 土曜午後、横浜ブルク13で、
 「王立宇宙軍 オネアミスの翼」。

 これは、地球ではない、何処か別の世界で、少女との出会いをきっかけに世界初の宇宙飛行士へと志願する青年の姿を描くSFアニメ。
 原案、脚本、監督はこの作品がデビュー作にして唯一の映画作品となる山賀博之。

 シロツグ=ラーダットは、空に憧れ水軍のパイロットになるのが夢だったが、学業成績が至らず断念、王立宇宙軍へ入隊した。だが、30年の歴史を持つ宇宙軍も今では落ちこほれの集団となり、シロツグは、その中で何時しか夢を忘れ、怠惰な日常を過ごしていた。
 ある日、シロツグは街頭で、神の教えを説いている少女、リイクニに出会う。彼女は、ただ宇宙を目指す事を目的とした宇宙軍を賞賛し、自分を認めてくれる人に出会ったシロツグも、かつての夢を思い出すのだった。そして、シロツグは、世界初の有人衛星の打上げ計画の飛行士に志願する――

 この映画、1987年の公開で、今回、4Kリマスター版が劇場公開された。
 劇場公開時には強いショックを受け、公開中は繰り返し映画館に通い、12回以上劇場で観たと思う。
 今回、久々に観たのだが、演出やギャグのセンスなど、如何にも’80年代風の古さを感じさせる一方、人類史と科学と宗教の2つの視点から見る、そのテーマは、山賀監督以下、当時20代中心のスタッフで作り上げたとは思えない程に重厚で、老成した印象を与える。

 アニメーションとしては、一部、CGが導入され始めているものの、動作確認に留まり、絵は全て手書きされている。複雑な二重反転プロペラの動き、細部まで描き込まれた絵、そして圧巻はロケット打ち上げ時、機体から剥がれ落ちる大量の氷片……すげぇ、これ全部手で掻いてるんだものな、これは正に日本アニメの金字塔、「AKIRA」と並び、手書きセルアニメの頂点と言えるものだろう。
 これは、未だに劇場で鑑賞する価値はある。


 そして、もう1本、
 「警官の血」。

 これは、佐々木譲の同題の警察小説を韓国実力派キャストで映画化したもの。
 出演は、「工作 黒金星と呼ばれた男」のチョ・ジヌン、「パラサイト 半地下の家族」のチェ・ウシク。監督は、「カエル少年失踪殺人事件」のイ・ギュマン。

 ある夜、ひとりの刑事が殺された――この事件の関与を疑われたのは、出処不明の莫大な後援金を受け、高い検挙率を誇る広域捜査隊のエース刑事パク・ガンユン。
 監査部は、殉職した警官を父を持ち、規則に厳格で融通が利かないと後ろ指を指される若手刑事のチェ・ミンジェを、パク・ガンユンのチームに転属させ、ガンユンの内偵調査を命じる。
 裏社会と癒着しているに見えたガンユンだが、ミンジェの見る限り一線は引いており、また、殉職した父の部下だった、と言うガンユンを信じ、「潔白である」と報告したミンジェだったが……

 刑事もので、潜入捜査はよくあるが、警官が警官を疑う、と言う組織内の物語としているのが、この映画の独自の視点。基本的には、クライムサスペンスだが、主人公が内偵する上官が、亡き父の父の部下である、と言う展開で、ふたりの関係が上司と部下から、兄弟、または親子のような繋がりを見せていくのもいい。
 物語も二転三転、先が読めず、最後までサスペンスの緊張感を維持し、全く退屈させない面白さだ。
 また、コンプライアンスの厳守を求める監察官と、それに共鳴する頑なな主人公が、組織と人間、規則と現実の対立の中から、ある決断をするに至る物語は、キャンセル・カルチャーに代表される、“正義の暴走”に一石を投じようとするものとなっているように思う。
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