木曜は、在宅勤務。
仕事の後、Kinoシネマみなとみらいで、
「Ribbon」。
これは、のんが企画・監督・脚本・主演を兼任した、コロナ禍の青春ドラマ。
新型コロナウィルスのパンデミックに見舞われた2020年、初春。卒業制作展が中止となった美大生の浅川いつかは、展示する当てもない卒業製作作品を持ち帰ることになった。
だが、いろいろな感情が渦巻いて、何も手につかないまま、怠惰な日々を過ごすいつかを心配し、母や父、妹のまいもやってくるが……
この映画で見せるのんは、何とも言えず生々しく、そして魅力的――勿論、自身の脚本で、自身が監督するだけに、自分らしさを全面的に出したものになっているのだから当然か……もっとも、そんな“素”の状態が魅力的であること、そして、既にアラサーでありながら大学生を演じてまったく無理がない、永遠の少女っぽさを、本人も自覚してると言うのはちょっとズルいような気もするが。
また、映画製作者としてのセンスもなかなかだ。テーマもタイムリーだし、映像や演出、緩急のテンポもよく、何とも手慣れた感じがする――もっとも、出演もしている岩井俊二の協力、特撮を担当した樋口真嗣など、製作体制にも恵まれている辺りに、彼女の愛されっぷりを感じる。
そして、映画は、コロナ禍で作品展示や舞台が取り止めとなり、行き場のない想いを抱えたアーティストの心境を代弁するもの。
公開する当てのない作品を壊し、捨てる事で、自身もゴミになってしまったように思う――のん自身、コロナの影響で、主催するイベントを中止する苦渋の選択を強いられた、と言うだけに、その想いは正に他人事ではなかったのだろう。
映画は、そんな想いをリボンとして描き、重荷のように彼女にまとわりつき、ゴミのように部屋に溜まっていくリボンが、作品に昇華されていくまでを描く。
リボン<Ribbon>に託された“想い”が、作品として生まれ変わる<Reborn>には、このコロナ禍の先にある未来を感じさせるカタルシスがあった。
今日は、もう1本。今度は、ブルク13で、
「ハード・ヒット 発信制限」。
これは、「テロ、ライブ」他、数々のヒット作を手掛けた編集マン、キム・チャンジュの監督デビュー作。爆弾による脅迫事件を描く、アクション・サスペンスだ。
大手銀行の支店長のソンギュは、いつものように学校へ送る子供たちをクルマに乗せて出勤の途中、一本の電話を受けた。それは“車から降りれば、仕掛けた爆弾が爆発する”と告げる脅迫電話。
イタズラか、と思ったが、実際、シート下には何時の間にか爆弾らしきものが仕掛けられており、しかも、同様に脅迫されていた部下の車が爆発を起こすのを目の当たりにして、脅迫が事実だと思い知らされたソンギュは、絶体絶命の状況の中、言われるがままにクルマを走らせるが……
この映画、“速度を落としたら即アウト”の「スピード」を思わせる、“車から降りたら即アウト”のサスペンス。見えない犯人との駆け引き、身代金の調達、大出血する怪我を負った息子の救命、と言う複数のタスクが畳みかける展開の前半は、正に息も継がせぬ展開で、これはキム・チャンジュ監督の巧みな編集テクニックも存分に活かされた出来で、これはなかなか。
ただ、物語の方はいささか弱い――サスペンスフルな前半部では気になる余裕さえなかったのだが、中盤で、海岸にクルマが止まってしまうと、テンションとテンポが落ち、途端に設定の苦しさが鼻につく――犯人の動機は理解出来るものの、その犯行は、単独犯としての実行はあまりに無理があるし、警察の動きも、ソンギュの制約になるだけと、あまりにも程度が悪い。
風呂敷を畳みにかかった後半は、サスペンスの盛り上がりも、ドラマも明らかに失速した感じ。エピローグもいささかキレが悪く、もう一工夫欲しかった所だ。
映画前半の手に汗握る感じがよかっただけに、何とも惜しい仕上がりだった。
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