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2021年04月25日20:07

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先週観た映画

 先週土曜、ブルク13で、
 「AVA/エヴァ」。

 これは、「女神の見えざる手」のジェシカ・チャステインが、女暗殺者に扮したアクション。
 監督は「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のテイト・テイラー。

 完璧な容姿と知性と、高い戦闘能力を兼ね備えた暗殺者エヴァ――だが、彼女は「なぜ標的たちは殺されるのだろうか」と疑問を抱くようになる。
 中東でのミッションで、エヴァは、正体に気づかれ銃撃戦を繰り広げる羽目に陥った。辛くも生き延びたエヴァは、情報漏れを疑い、組織への不信感を募らせていく。
 一方、組織の幹部サイモンは、エヴァを危険と見て処分しようとし、彼女の上司であるデュークと対立して……

 本作は、ハリウッドで作ったリュック・ベッソン映画、と言う印象……内容が荒唐無稽なのは、アクションを見せる映画故、仕方ない部分はあるが、それならば、もっとアクションの出来る、活きのいい若手を使って派手に仕立てるべきだろう。
 ジェシカ・チャスティンを始め、キャストが無駄に豪華で、しっかり芝居も出来る分、芝居を見せる為にテンポは悪くなるし、その癖、物語には語るほどのドラマがない……と言うか、あれこれエピソードは盛り込まれているのだが、どうにもドラマを盛り上げられない感じなのだ。
 それでは、とアクションを見せようにも、ジェシカ・チャスティンは小柄で華奢だから、どう見せても説得力のある、派手なアクションにはなり得ない。
 本作で、悪玉を演じたのはコリン・ファレルで、彼はアクションもしっかり出来る俳優だけど、相手がジェシカ・チャスティンか、古希を迎えるジョン・マルコヴィッチでは、弱い者イジメの感が出てしまって気の毒だ――まぁ、それ故に悪いイメージは強くなるのだが。

 監督も、キャストも悪くなく、製作費だって結構かかっていそう……それでも、こんな映画になってしまう事があるんだな、と言う映画だ。


 日曜、シネマジャック&ベティで、
 「わたしの叔父さん」。

 これは、第32回東京国際映画祭にて最高賞の東京グランプリを受賞したデンマーク映画。
 監督は、本作が長編2作目となる新鋭フラレ・ピーダセン。

 両親を亡くしたクリスは、静かな農村で叔父と暮らしてきた。早朝に起床し、足の不自由な叔父の世話と家業の酪農の仕事をし、週に一度買い物に出かける日々。
 そんな毎日を送る中、クリスは、感染症の牛の対応を知り合いの獣医に褒められた事をきっかけに、かつて抱いていた獣医になる夢を思い出す。さらに教会で出会った青年マイクからデートに誘われて……

 この映画、ピーダセン監督が、デビュー作で主演を務めた女優、イェデ・スナゴーとの会話から、彼女の叔父にあたるペーダ・ハンセン・テューセンに密着取材して作り上げたものだと言う。映画では、主役のクリスをイェデ・スナゴーが、ペーダ・ハンセン・テューセンが叔父を演じると言う再現ドキュメンタリーのようになっている。

 映画は、日常を丹念に描いていくもので、映画が始まってから実に10分、全く会話がなく進む。
 実際に畜産農家であるペーダ・ハンセン・テューセンは、演技と言うよりも、カメラの前で実生活を再現しているようなものだろうし、それをフィックスのカメラで捉えた映像は、映画と言うよりも、ドキュメンタリーとして、畜産農家の生活を覗き観るような気持ちにさせられる。
 また、このように描くと退屈なように思われるかも知れないが、自分の知らない、別の世界に入り込む、と言うのは正に映画ならではの体験であり、この映像体験は、思った以上に豊かなものだし、ピーダセン監督は、ユーモアのセンスに優れ、中盤以降、人の心をくすぐるユーモアを盛り込んで来るので油断出来ない。

 また、ピーダセン監督は小津安二郎監督の影響を強く受けているそうで、本作のクリスと叔父が囲む食卓の風景に、小津的なものを感じる――まぁ、余り小津安二郎の映画については語る程のものを持っていないのだけど。

 映画は、映画的な現状を打破して一歩を踏み出す、と言う事を敢えて避け、変わらない、若しくは変えたくない想いがある事を描いて行く――それを相互依存と解説するのは容易いかもしれないが、誰だって生活はそう簡単には変えられないもの。そこに思い至った時、クリスの選択に胸を打たれた。



 日曜はもう1本、こちらはブルク13で、
 「ザ・バッド・ガイズ」。

 これは、「悪人伝」のマ・ドンソク主演のアクション・サスペンス。

 囚人たちを乗せた護送車が襲撃され、その混乱の中、服役囚が逃げ、行方をくらませてしまう。
 逃亡犯を捕まえるため、警察上層部は、かつて特殊チームを率いた元警察官のオ・グタクに指令を出し、刑務所に収監中の服役囚たちを集めた特殊チーム「特殊犯罪捜査課」を再始動させる。
 オ・グタクは、かつての特殊チームの一員で、拳一つでソウルを掌握し、“伝説の拳”と恐れられる暴力団の用心棒パク・ウンチョルに加え、頭の切れる女詐欺師のクァク・ノスン、犯人逮捕の際に過失致死に問われて収監中の暴力警官のコ・ユソンを新メンバーに、新たなチームを結成。減刑を条件に、逃亡犯を追い詰めていくが、事件の背後には謎の組織の暗躍があった……

 この映画、ハリウッド進出が決まったマ・ドンソクの新作映画を装うが、これ、実は2014年のテレビシリーズの映画版で、本国では2019年に公開されたもの。単独作として成立してはいるものの、主人公以外のキャラクターは既知のものとして描かれており、また、対立関係が案外込み入ってるせいもあって、冒頭暫くは話を飲み込めずについて行けなかったのが正直な所。
 TVドラマの映画版と言う事で、幅広い観客層を意識したのか、韓国映画としては暴力描写は甘め。その一方で、映画「シン・シティ」風の人物紹介や、シリアスな脱出シーンにブッ込んで来るギャグなど、様々に工夫を凝らして見せるので楽しめる。そして、勿論、主演、マ・ドンソクの魅力たっぷり――絶対絶命の危機に、ドンソク兄貴がハンマー片手にのっしのっしとやって来る、その圧倒的なカッコよさと頼もしさは、最早、ゴジラ級だと言っていいだろう。

 尚、本作の悪玉は、何と山口会系のヤクザ……朝鮮半島を足がかりに大陸進出、と言う、その企みには、豊臣秀吉以来の日本のネガティブイメージを見せつけられたようで、気になる人は気になるかも知れない。
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