これは、ジェンダーレスモデル、アレクサンドル・ヴェテールが映画初主演で、ミス・フランスを目指す青年の物語を描くもの。
9歳の男の子、アレックスの将来の夢は、ミス・フランスになること――だが、両親を事故で失ってから、彼は自分を取り戻せずにいた。
24歳になったアレックスは、幼馴染のエリアスが、努力の末に子供の頃の夢を叶えていた事を知る……彼に触発され、アレックスは忘れかけていた夢にもう一度向き合うことを決意。
下宿先で全てを打ち明け、家主のヨランダや、ドラァグ・クイーンのローラら、個性豊かな下宿先の同居人たちに支えられながら、ミスコンに臨むのだが……
この映画、男性がミスコンテストに挑む話だけれど、主人公のアレックスは、ゲイやトランスジェンダーと言うセクシャルマイノリティではない――むしろ、少女がプロ野球選手を目指す「野球少女」が近いだろう。
つまり、「男がミス・フランスになりたいと思っちゃいけないのか?」と言う事だ。
アレクサンドル・ヴェテールは、ゴルチエのモデルとしてランウェイを歩いた事がある、と言う本物のモデルであり、その美貌と見せ方はプロフェッショナルそのもの。
映画製作にはミス・フランスの運営団体が協力しており、ミスコン優勝者も共演しているのだけど、その中でも群を抜く美貌なのだから、感嘆する。
物足りなかったのが、アレックスは、最初のコンテスト予選から堂々とした美貌を誇り、悪銭苦闘しながら理想に近づいて行く、と言う最後のミス・フランス決勝の舞台まですいすい進んでしまい、青春映画としての盛り上がりに欠ける事と、社会的な主張の低さ――勿論、移民や孤児と言う社会的弱者の存在や、多様性の受容についてなどが語られはするのだが、どうにもインパクトに欠ける――まぁ、「Girl/ガール」と比較してしまったからかも知れないけど。
クライマックスとなるミス・フランス決勝でのまさかのカミングアウトに対するブーイングが最後まで残る辺りは、監督の誠意だろうか?
その後のラストは綺麗にまとめていたけれど、もうひと盛り上がり欲しい感もあり――ミス・フランスの合宿旅行でアレックスの秘密を知ったミス候補のパカが、彼をかばうようになったのは、仲間意識以上のものがあった筈で、最後にパカがアレックスに告白する、とかあったもよかったように思う。
PS
いくら長身女性の多い欧州でも、着替えなども見ている筈のミスコン関係者が、誰も気づかないなんて不自然では?と思ったけど、実は似たような出来事は現実に起きているそうだ……事実は小説より希なり、と言うことか。
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