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2020年12月15日00:24

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土曜は……

 土曜、この週末は映画三昧。
 
 まず、本日の1本目は、T・JOY横浜で、
 「Away」。

 これは、ラトビアの映像クリエイター、ギンツ・ジルバロディスが監督・製作・編集・音楽をひとりで手がけ、3年半をかけて作り上げ、2019年のアヌシー国際映画祭で、実験性・革新性のある長編作品を対象とするコントルシャン賞に輝いた長編アニメーション映画。

 飛行機が墜落、パラシュートで脱出した少年は不思議な島に降下した。そこで、黒い影のような巨人に追われ、森に逃げ込んだ少年は、そこで1台のオ−トバイと地図を見つける。
 少年は、巨人から逃れ、一羽の小鳥を共に、人里目指してオートバイで走り出すが……

 たったひとりで長編アニメ映画を作ってしまった、と言うエピソ−ドは、新海誠の出世作「ほしのこえ」を連想させるし、命を吸い取る黒い影のような巨人の姿形には宮崎アニメの影響を強く感じる。そんな作品がラトビアから生まれる事が意外にも思えたが……今や、ネット配信サービスにより、世界の何処でも映像作品は観られるようになり、コンピューターを使いこなす事でアニメはひとりでも作る事が出来るものとなって、最早、アニメは世界中、どこからでも生まれるものとなった、と言う事かも知れない。

 アニメ作品としては、アニメーションの動きに稚拙な部分を感じはするが、輪郭線のない”色の塊”が動く、と言う独特の作風は、正に3D−CG世代ならではだし、いささかゲーム風ではあるものの、それでも風景の美しさと、作り上げた世界観はなかなかで、思わず引き込まれそうになった見事なシーンが幾つもあった。
 ただ、台詞が一切なく、簡素な筋運びで、物語と言うよりも世界を見せる作品としては、81分はいささか長く、終盤、ちょっと眠くなってしまった。

 だが、かつての新海誠がそうであったように、ひとりでこれだけのアニメを作ってしまう、この新たな才能のこれからには期待したい。


 映画の後、駅前の焼き鳥屋で昼食。
 ヤンニョムチキン定食、これで¥500円ならコスパはいい。
 フォト

 その後、川崎へ移動。チネチッタで、
 「ハッピー・オールド・イヤー」。

 これは、「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」のチュティモン・ジョンジャルーンスックジン主演で、断捨離をテーマとする異色のタイ映画。
 今年の大阪アジアン映画祭ではグランプリを受賞している。

 スウェーデンに留学し、ミニマルなライフスタイルを学んだデザイナーのジーンは、かつて父親が営んでいた音楽教室兼自宅をリフォームしてデザイン事務所にしようとする。理想的なオフィスを目指し、モノにあふれた家の“断捨離”を進めていくジーン。
 だが、リフォームを依頼した建築家の友達からのプレゼントを捨てようとしてバツの悪い思いをしたジーンは、友人からのプレゼントや借り物を返して廻る事になる。そんな中、かつての恋人エムから借りたままのカメラを見つけたジーンは、処分に困りながらも小包として送り返すが、受取を拒否されジーンのもとに戻ってきてしまい……
 
 これは、“こんまり”こと近藤麻理恵に影響され、一念発起してミニマリストになろうとする主人公、持ち物だけでなく、人間関係までも切り捨てていく”断捨離”に、逆襲されて行く物語。
 主人公・ジーンが、そんな極端な行動に走ろうとするのが明かされる中盤以降、人の“持ち物”とは単純なモノではなく、人の想いや記憶の依り代だと描いて行くのは、モノが溢れる現代社会で、断捨離が注目され、ミニマリストの暮らしが「よいもの」とされる風潮へのアンチテーゼか。
 「タイは日本みたいに地震などの災害がない。古いモノを捨てなくてもいいじゃないか」と台詞でも語られるように、近年、急速に近代化が進み、西欧式の生活様式に塗り替えられて行く中で、これまでの暮らしを形作っていたものが捨てられ、顧みられなくなる、タイの現状に向けたものかも知れないが……

 主演のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンは、実年齢よりもかなり年上の役を無難に務めている。蒼井優にちょっと似た感じで、あまりタイ人らしくない印象の彼女だが、それだけに、ミニマリストのデザイナーと言う、これまたタイ人らしくない役にうってつけの感じ。
 また、監督のナワポン・タムロンラタナリットは、岩井俊二監督の影響を強く受けており、映画は、いかにもタイ映画流のベタな演出をしない。まるで岩井俊二の映画をタイ語で観せられているかのような印象で、断捨離、と言うテーマだけでなく、映画としても、異色のタイ映画になっていると思う。


 チネチッタでは、もう1本。
 「ニューヨーク 親切なロシア料理店」。

 これは、「ワン・デイ 23年のラブストーリー」のロネ・シェルフィグが監督による人間ドラマ。

 NY・マンハッタンにある老舗ロシア料理店「ウィンター・パレス」。
 かつての名店を立て直すために雇われたマネージャーのマークは刑務所を出たばかりで、担当弁護士のジェフと、「赦しの会」のセラピーに通っている。セラピーの主催者は、店の常連客でもある看護師のアリス。
 そんな料理店に、二人の息子を連れ、息子への夫からのDVに耐えかね、家出してニューヨークへ逃げてきたクララがやって来て……

 この映画、邦題はいささか内容とかけ離れてしまっていて、実の物語は、DVから逃れて家出した子連れ人妻の逃避行を中心にした、都会に暮らす寂しい男女の群像劇と言った所。
 メジャーではないものの、個性ある俳優を揃え、一癖あるキャラクターを割り振られてはいるものの、今ひとつ踏み込みが浅い印象だ。
 そもそも、中心となるクララにしても、家出理由の夫のDVが描かれず、子供たちにも、そんな恐怖から逃げ出した安堵のようなものが感じられないせいもあって、どうにもドラマに切実さがないのだ。

 映画としては、なかなか見事なシーンもあり、丁寧に作られているのは判るのだけど、どうにもドラマに乗り切れなかったし、そんな孤独が恋愛によって癒やされる結末も納得出来なかった。


 夕食は、横浜に戻ってモスバーガー。

 その後、ムービルで、
 「NETFLIX 世界征服の野望」

 これは、世界最大の動画配信サービスにまで成長した、「NETFLIX」を描くドキュメンタリー。
 原作となるベストセラー「NETFLIX  コンテンツ帝国の野望 −GAFAを超える最強IT企業−」の著者ジーナ・キーティングが自ら脚本を手がけている。監督は、ドキュメンタリー作家のショーン・コーセン。

 NETFLIXは、1997年にDVD配送レンタル会社としてスタート、2007年からはネットで動画配信サービスを開始し、今や世界190ヶ国以上で事業を展開、有料契約者数1億8300万人を有するストリーミングサービス最大手となっている。
 映画は、NETFLIXの共同創設者で元CEOのマーク・ランドルフをはじめ同社の主要創業メンバーや当時の競合相手たちの証言を基に、その創業から始まり、成長の過程、競合するレンタルビデオ店との攻防、そして、現在に至るまでの知られざるエピソードを解説していく。

 原作の出版は2012年と言う事もあり、映画は、NETFLIXの創業に始まり、2010年代初頭に起こった、全米最大のレンタルビデオチェーンである「ブロックバスター」との郵送レンタルDVD事業の覇権争いを中心に描いて行く。これはこれで、馴染のないアメリカのレンタルビデオ業の興亡を描く、と言う歴史的価値と面白さを感じるものの、期待していた現在のストリーミングビジネスと、コンテンツ製作に乗り出し、映画界を激変させようと言う現在の状況を語るものではない。
 時に笑い話を交えながら、熱い語り口で話に引き込む、マーク・ランドルフの話術には感心するが、その彼を始め、登場するのが何れも「元」NETFLIXか、社外の人間ばかりで、現CEOのリード・ヘイスティングスを始め、現在のNETFLIXを語る人物が登場しないのも物足りなく思えた。
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