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2020年09月01日00:19

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月曜は……

 月曜は、休暇をとった。そして、Kinoシネマみなとみらいで映画3本。
 まず、1本目は、
 「オフィシャル・シークレット」。
 これは、イラク戦争開戦前、英国政府を揺るがしたキャサリン・ガンによる情報漏洩事件を映画化したもの。
 主演は、キーラ・ナイトレイ。監督は、「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」のギャヴィン・フッド。

 2003年。英国の諜報機関CGHQ(英政府通信本部)で働くキャサリン・ガンは、ある日驚くべきメールを受け取る。アメリカがイラクに対する国連決議を進める為、弱小国の盗聴をして弱みを握り、イラク開戦に賛成させようと言う内容に憤りを覚えたキャサリンは、元同僚の友人を訪ね、メールをマスコミにリークしたいと相談する。
 2週間後、英国・オブザーバー紙の記者マーティン・ブライトの元に持ち込まれたそのメールは、紆余曲折の後に記事化される。
 GCHQ内部で漏洩犯探しが始まり、自ら名乗り出たキャサリンは公務情報漏洩の罪で逮捕され、起訴される事になる。キャサリンは、人権派弁護士ベン・エマーソンを頼るが……

 これは17年前の事件であり、関係者の多くが存命。それを、当時のニュース映像も交えつつ、全て本名で映画にしてしまうのだから大したもの。
 監督のギャヴィン・フッドは弁護士の資格も有していて本作製作に当たってはひとつ間違えれば訴訟され兼ねない、と言う事で、相当気を遣ったよう。実際、描けない事は多くあるのだろうが、描かれている事はほぼ事実と思ってよさそうだ。

 本作は、国に仕えるものが、国が誤った方向に進もうとする際にどうしたらよいのか、または、組織の中で、法令に縛られる中で、人としてどうあるべきか……と言う、重くかつ普遍的テーマを史実に基づき、真摯に映像化している。
 一応、法廷サスペンス仕立てとはしているものの、イギリス映画らしく真面目で、ひねりも無いのはエンターテイメント性を欠くし、クライマックスの裁判も、本件に関しては、政府の責任を裁判で争う事を避けて検察自ら不起訴にする、と言う肩透かしもいい所の展開となってしまうのが物足りないが、それが事実だから仕方ないか……

 もっとも、古風に鬘をつけて裁判に臨む英国の裁判の様子は興味深く、キャサリンが逮捕後、機密漏洩と言う重罪犯なのに取調べを終えたら保釈される辺りについては、我が国との違いに愕然とする――日本だったら、そのまま長期拘留して被告の精神を折りにかかるだろうから。

PS
 キャサリン・ガンの言う「私は政府ではなく国民に仕えている」と言う言葉、何処かで聞いた事があると思ったら、森友学園事件の書類改竄で自殺に追い込まれた関西財務局の赤木氏が同じ事を言っていたのだ。「ぼくの契約相手は国民です」と。
 日本にも、そんな官僚がいた。でも、その想いをこの国は受け止める事が出来るのだろうか……?


 1本目の後、2本目まで30分……ここで食事にしよう。
 
 とりあえず、近くの佐島水産で、ランチ。
 フォト
 ……カツオ丼と蕎麦のセットに、茶碗蒸しまでついて¥1100……安くない?

 2本目は、
 「ソワレ」。
 これは、小泉今日子らが設立した制作会社・新世界合同会社の第1回プロデュース作品。
 出演は「楽園」の村上虹郎、「#ハンド全力」の芋生悠。監督は、新世界合同会社の設立メンバーでもある外山文治。

 役者を目指して上京した翔太だが、芽の出ないまま東京で燻り、いつしか特殊詐欺の受け子などで生計を立てるようになっていた。
 ある夏、所属する劇団が、演劇を教えるため、翔太の故郷に近い和歌山の高齢者施設を訪れる。
 だが、ある事件に巻き込まれ、施設職員の山下タカラと先の見えない逃避行に出ることになって……

 映画は、紀州・和歌山を舞台に、若い男女を“父殺し”と言う壮絶な状況の下で逃避行に走らせる。最近のキラキラ映画ばかりが目立つ日本映画の中では、刺激的な内容だし、台詞でくどくど語らず、風景に心象を語らせるのも新鮮だ。
 屈折した若者を演じさせれば抜群の村上虹郎にこれが出来るのは期待通りだが、芋生悠は予想以上。血塗れから汗まみれとなり、出演シーンの殆どをすっぴんで通しているが、逃避行が続き、疲れ果てぼろぼろになって行くのに反し、輝きと存在感が増して行くのだ。ちょっと癖のある顔立ちで正当派の美人ではないが、これは“化ける”のではないだろうか。

 惜しいのは、舞台が紀州・和歌山ということで安珍・清姫伝説を引用しているのだが、これが上手く活かされていないこと。
 その一方で、翔太の演技が心に残るものになっていた事が示されるエピローグにはぐっと来てしまった。

 
 3本目は、
 「シチリアーノ 裏切りの美学」。
 これはイタリアの名匠、マルコ・ベロッキオ監督が、マフィアの掟を破ったパレルモ派の大物を描いた伝記ドラマ。
 イタリアのアカデミー賞と呼ばれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞にて作品賞など6部門を受賞。カンヌ映画祭や、米・アカデミー賞にもイタリア代表に選出された作品。

 1980年代初頭、シチリア。マフィアとして知られる犯罪組織“コーザ・ノストラ”の新旧世代間の争いが激化。古きコーザ・ノストラの精神を受け継ぐトマーゾ・ブシェッタだが、女子供にも容赦せずに一族皆殺しの抗争でのし上がって来たコルレオーネ派の懐柔に失敗。ブシャッタと妻子は、ブラジルに逃れたものの、イタリアに残した息子たちや親族を失う。
 ブシェッタはブラジルで逮捕され、イタリアに引き渡されることに。そして、マフィア撲滅に執念を燃やすファルコーネ判事から捜査協力を求められる。ブシェッタはコルレオーネ派の台頭で堕落したコーザ・ノストラに失望しており、捜査に協力する事になるが……

 これは、旧世代のドン、トマーゾ・ブシェッタの告白により、366名もの逮捕者を出した実話に基づく実録ドラマ。
 犯罪組織の新旧世代対立、と言う事だけど、日本における任侠道の渡世人とヤクザの差、と言うように考えればよいか……この映画でも、老人を敬い、カタギと女子供には手を出さないコーザ・ノストラと、一族郎党皆殺しのマフィアと言うように対比されて描かれていた。
 映画は、そんな自らを「誇り高い男」と言う旧世代のトマーゾ・ブシェッタが、息子や仲間を殺された報復に、司法の手を借りてコルレオーネ派を追い詰めて行くものになる。

 血生臭い抗争場面も描かれるが、裁判シーン――受刑者を格子ごしに同席させるイタリアの裁判の様子が興味深い――も多く、映画としてはむしろ叙情的にブシェッタの半生を描いていく。
 
 登場人物は多く、時間軸も行ったり来たりするので、物語の流れを把握するだけで一苦労……152分と言う長尺のせいもあり、中盤にはついうとうとしてしまった。
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