水曜は、定時で会社を上がって……と思って、TOHOシネマズ海老名、18:45のチケットを買っていたのだが、会議が押してしまい、上映時間10分前に漸く劇場に到着。映画前に、夕食を、と思っていたのだがそれどころではなく、ホットドックを買ってスクリーンへ、となった。
今日の映画は、
「糸」。
これは、中島みゆきの同名曲に着想を得て「楽園」の瀬々敬久監督が、菅田将暉&小松菜奈W主演で映画化したもの。
平成元年に生まれ、北海道で育った高橋漣と園田葵は13歳の時に出会い、初めての恋をする。
だが葵は、母が共に暮らす若い男からの家庭内暴力を受けていた。事情を知った漣は、駆け落ちを決行するも、13歳の2人には行く当てもなく、翌朝には警察に保護されてしまった。
それから8年。地元のチーズ工房で働く漣は、友人の結婚式に訪れた東京で、葵との再会を果たすが……
瀬々敬久監督映画には、あまりいい印象がないのだが……この映画もその予感は的中。
確かに、金をかけているのは判る。海外ロケを敢行し、撮影にも時間をかけている……主人公2人の出会いと再会のドラマを、平成史と重ねて描く、と言う狙いは判らないではないが、平成の出来事が、いずれも表面的にしか取り上げられておらず、物語の中で活かされていないのは勿体ない。
物語は基本的にメロドラマ仕立て……だから、やむを得ないとは言え、DVにネグレクト、破産に、災害に、難病、そして親友の裏切りと、主人公とその周辺の人物を次々と不幸に落とし込むのはやり過ぎではないか……映画中の台詞ではないが「普通の生活がしたいだけなんだ」と言うボヤキに同情してしまう。映画は、そんな不幸の連鎖を背景に、運命の2人のすれ違いを描くものになる。
しかし、物語は駆け足で、まるでダイジェストのよう。深いドラマは描かれず、背景描写もおざなり……それでも観客を泣かせ、感動させてしまうのは、演技力のある主役級俳優をずらりと揃えた豪華キャストによる、説得力のある芝居があるからだ。こうした俳優陣の頑張りと、海外ロケを含む“現場”の説得力が、本作を辛うじて映画たらしめている、と言う感じだ。
あと、この映画に既視感があったのは、「弥生、三月 君を愛した30年」と似通っているのだ……しかも、成田凌まで出ているし。
モチーフに使われた名曲「糸」も、ドラマの中で有効に使われているとは思えず――友人夫婦に印象的に使われた中島みゆきの「ファイト」の方が上手く活かされていたのだが――最後の再会のシーンは、歌のサビとクライマックスが全く合っておらず、勿体ない限り。
しかも、そのクライマックスと来たら、それまでスマホ見ながらダラっと観賞していた客にも判るように執拗にプレイバックをかけるなど、くどい演出でむしろ白けてしまい、再会の感動を削いでしまっているのだ。
これだけの豪華なキャストと、お金をかけてこれでは……色々な意味で無駄遣いな映画だ。
PS
本作の劇場予告編だが、これが惜しみないくらい映画を最初っから最後まで見せてしまっている……正直、映画本編だってダイジェストのようなものなのだから、予告編だけ観れば十分だ。
実際、予告編の中に物語の起承転結も、登場人物の殆ども、ラストシーンまで入っているのだ。
これだけ観れば充分、と言うか、よくもまぁ、予告編でここまで見せる気になるよな……
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