日曜も映画。
今日の1本目は、新宿ピカデリーで、
「フリーソロ」。
これは、2019年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞のロック・クライミングのドキュメンタリー。
ロープや安全装置を使わず、己の手足だけで垂直の岩盤をよじ登るフリーソロ・クライミングのスター、アレックス・オノルドが、かつて誰もフリーソロで登ったことのない巨岩エル・キャピタンに挑む。
これは高所恐怖症の人は絶対観られない映画。
また、そうでなくとも、フリーソロのクライマーと言うのは人間業ではない。これを観るとボルダリングなど所詮ゲームに過ぎない事がよく判る。なにしろ、アレックスは親指ほどの岩の出っ張り、いや、岩盤のざらつきに手足を押しつけて体重を支え、垂直の岩盤をよじ登って行くのだ――正にリアル・スパイダーマン。
この映画は、そんな超人としか思えない、アレックス・オノルドのプライベートに密着。高さ1000mの垂直の岩壁、エル・キャピタンに挑む数年の取り組みを描いて行く。
圧巻は最後のエル・キャピタン登坂。
高さ1000m、命綱なし。アンカーを打たず、ザイルもかけず、アシスタントも勿論なし、たった独りでよじ登っていく……このドキュメンタリーの為、カメラを向けていたカメラマンが、
「もう耐えられない。お前らよく撮っていられるな。オレは二度とこんな仕事はしない」
と、泣いてカメラを放り出してしまう程の緊張。こちらも手にじっとり汗をかかされてしまった。
「フリーソロ」
の後で昼食。今日は、ぶぶかの油そば。
2本目は、シネマカリテで、
「ラスト・ムービースター」。
これは、2018年9月6日に逝去した名優バート・レイノルズ最後の主演作。
2017年に本国公開された映画で、今頃になって劇場公開されたのは、現在公開中の映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で、ディカプリオが演じるのがバート・レイノルズをモデルとした役、と言う事に関連があるのかも知れない。
往年の映画スター、ヴィック・エドワーズのもとにある映画祭から功労賞受賞の招待状が届く。しぶしぶ参加するも、映画ファンの若者が主催する名もない映画祭だと知り憤慨するが、そこは彼が生まれ育った街の近くだった。
これはいい映画だったなぁ……
往年の大スターが、地方の映画祭に招かれ、そのショボさに憤慨、と言う辺りまでは凡庸だったのだが、ヴィックの運転手兼アシスタントとしてつけられた女性、リルと共に、故郷に向かうロードムービーになってしまってからはなかなかいい。
過去の栄光に縋る偏屈で傲慢な老人だったヴィックが、思い出に触れて人生を悔い改めるのもいいし、やかましく自分勝手なビッチと見えたリルが、どんどん可愛らしい女性に見えて来る、自然な展開もなかなか。
「何故、自分はイーストウッドやデ・ニーロのようになれなかったのか?」
と言う、バート・レイノルズの俳優人生を重ねたようなヴィックの反省と、そんな気づきから人生の最晩年を変える事、同時に、自分にスターの輝きを見たひとりの女性の人生を変える事が出来た、素敵な物語。
最後の表彰式でのヴィックのスピーチと、彼のファンたちの映画愛が報われたのには思わず涙してしまった。
上映後には、観客席から小さな拍手が湧き上がった。
ベタでも、予定調和でもいい、こんな風に幸せになれる映画は、やはりよいものだと思う。
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