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2019年03月11日01:10

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日曜は……

 今日は、何とか天気も持ちそう、と言う事で、CB750で映画を観に出かける。

 まず、午前中に、ららぽーと横浜で、
 「きばいやんせ!私」。
 これは、「百円の恋」の武正晴監督による人間ドラマ。

 東京のテレビ局アナウンサーの貴子は、不倫スキャンダルでアナウンサー部から左遷され、製作に回っていた。
 華やかな舞台から外され、ストレスを酒で発散、仕事の方はおざなりになっている中、幼い頃に過ごしたことのある本土最南端の町・鹿児島県南大隅町の御崎まつりを取材するよう命じられる。
 渋々、南大隅町に下調べに向かった貴子だが、そこで見たのは過疎と高齢化により、かつての祭りを行えなくなっている御崎まつりの現状で……

 これは、「やりたいこと」が出来ず、かと言って止める事も出来ない仕事と祭りが出会って、そして思わぬ変化を見せる映画。
 ノリとしては、青春映画の様式で、登場人物も若いのだけど、これはもっと年嵩の俳優の方がよかったような……特に、貴子役の夏帆は、どうにも人気女子アナ顔ではなく、ややミスキャストか……むしろ、沢尻エリカ辺りが似合いそうな役だと思うのだけど。

 「やらされてやってる仕事など誰にでも出来る」など、働いてる人間にはビシビシ刺さる台詞もあるし、再現された御崎まつりは本当に大変そう。なるほど、これ見せられたら惚れちまうのも判らなくはない。
 ただ、貴子の仕事観が変わる瞬間が判りづらく、そこから町がひとつになって行く辺りもご都合主義な流れて、この辺りをもう少し上手く見せてくれれば盛り上がったのになぁ……

 この映画を観る際、隣席の、息子に連れられて来たと思しき老婦人、映画館慣れしていないのか、息子にあれこれ話しかけているのに正直、イラっとしていたのだが、映画が始まって、冒頭、私などでは理解不能なレベルの早口の薩摩弁に、
 「お国言葉じゃあ……懐かしか」と。
 横を見ると、老婦人、満面の笑顔で身を乗り出し、食い入るようにスクリーンに見入ってる……ああ、映画っていいもんだよなぁ、って思って、正直、イラっとしていたのも全部すっ飛んだ。

 この映画の後、桜木町のブルク13へ移動。
 午後は、
 「岬の兄妹」。
 これは、片山慎三監督の初の長編映画。山下敦弘監督やポン・ジュノ監督の下で経験を積んだ片山監督、長編デビューにしてガツンとインパクトのある映画にして来ました。

 岬の先端にある港町で、自閉症の妹、真理子の世話をしながら暮らしている兄の良夫は、足の障碍を理由に失業。
 家賃の支払いも滞り、電気も止められ、食べることすらままならなくなった彼は、ある出来事をきっかけに、真理子に売春をさせて稼ぎ始めるが……

 先日、日記で、「日本映画は重厚なテーマを描く一流の作品を生み出す事は出来ない」と書いたばかりですが、そんな映画が来ちゃうのだから世の中、判らないもの。
 もっとも、片山監督、日本で映画を製作するにあたって課せられる様々な制約から自由になる為、製作委員会など作らず、クラウドファンディングにも頼らず、自己資金で作り上げた、と言う事ですが、その内容を見れば当然でしょう。
 「日本の貧困を描いた」として非難された「万引き家族」ですらちゃんと食事はとっていたし、家には電気もあったけれど、この兄妹には、それもないのです。
 電気を止められ、借金取りの目から逃れる為に窓を全て塞いだ家に籠り、食べ物はゴミを漁り(しかも、ホームレスに負ける……)、最後にはティッシュを食べて飢えを凌ぐのですから。兄は身体障碍、妹は精神障碍、仕事を失い、セーフティーネットも機能せず、追い込まれて兄は妹を売って食い扶持を稼ぐ、と言うどん底描写。
 それをしっかりした演技の出来る個性俳優がリアリズムを以て演じ、普通の人が知る事も無いような、「底辺」を見せるのです。
 憲法二十五条が定める生存権さえ救いにならず、生きたい足掻く兄妹……その貧困や暴力や障害や性を前にして、見たくもないものとして見なかった事にするのか、救いの手を差し伸べるのかを観客に問う、そのインパクト……ぬるい描写ばかりの現在の日本映画をたたき壊す、インパクトのある映画です。

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