これは、これまで繰り返し映像化されてきた横溝正史の同題ミステリー小説を、清水崇監督が新たな解釈で映画化したもの。
主演は、歌舞伎役者の尾上松也、共演は、「ラーゲリより愛を込めて」の奥智哉、「わたしはあなたを知らない、」の堀田真由。
児童養護施設出身の大学生、井川辰弥は就職活動で苦戦する日々の中、警察から母の死を告げられる。
幼い辰弥を捨てて姿を消した母は、岡山県の山村で亡くなった、と言う――ふと、母の死んだ場所を見たくなった辰弥は、その“八つ墓村”を訪れ、そこで探偵の金田一耕助と出会う。
金田一は辰弥を探していた、と言い、村の名家・田治見家に連れて行く。田治見家では、当主の久弥が病に伏せっており、余命あと僅かとされるが、久弥には子供がない。そこで、次代の当主を決めるべく、先代の当主、要蔵の子である辰弥を呼び寄せたのだ、と……
「八つ墓村」については、原作小説・映像作品共に未見、ほぼ予備知識なしで観たのだが、これはミステリーではない、と言う印象……これは、戦国時代まで遡る怨讐の物語であり、映画内で起きる殺人の動機、そして起きた事、そのものも超常現象によるものなのだ。ミステリーの禁じ手を使ってしまっている時点で、既に認め難いのに、本作の金田一耕助と来たら、結果として、20年前の惨劇の生き残りである“フリフリさん”が、正気すら失わしめる執念で調べた結果を横取りして解説する、と言う有様で、推理さえしていないのだから……
むしろ、本作については、「呪怨」で知られるJホラーの名手・清水崇監督による、「樹海村」、「牛首村」に連なる“村”シリーズの伝奇ホラー映画と受け止めた方がよいのかも知れない。
ただ、そうだとしても出来は誉められたものではない――ホラー作品ならば、日常の何気ない状況を少しずつきしませて行き、信頼していたものに裏切られ、非日常に転換する事で恐怖を生むものだろうに、本作の多治見家の描写と来たら、最初っから不気味さを押し出し、主人公に疎外感を与えるもの……その中で、唯一信頼出来る人物が……となった時点で犯人確定で、これでは謎解きも恐怖もあったものではない。
ミステリーとしては論外で、ホラーとしても恐怖にも驚きにも欠け、レイティングを一般映画としたせいもあって、残酷・猟奇シーンも抑えられ、と、ここまで外れてしまっていてはジャンル系映画としては中途半端、その上で物語は穴だらけ、展開も辻褄合わずでは……全体を通して残念としか言い様がない映画だった。
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