これは、2021年、アフガニスタンからの多国籍軍撤退により生じたタリバンによる政権奪取の際に、首都カブールからの脱出劇を描くハンガリーのアクション・サスペンス。
ハンガリー映画としては巨額の800万ユーロ(約13億5000万円)を投入、国防軍の協力も得て、撮影はハンガリー国内での巨大なオープンセットで撮影した、と言う。
監督はハンガリーで数々の作品を手がけてきたゾンボル・ディガ。
2021年8月8日。アフガニスタンから米軍が撤退を開始し、NATO加盟各国も自国民と関係者をアフガニスタンから退避させるべく行動を開始した。
ハンガリー国防軍も、大使館員らハンガリー人と現地協力者200人を脱出させる「シャーマン作戦」を発動。フレッド中佐率いる部隊は、避難民が殺到するカブール国際空港での任務を開始するが……
本作については、全く事前情報なしで鑑賞……最初、タイトルとポスターだけ見た時点では「韓国映画か?」とか思っていたくらいで、それが、これまであまり観た事もないハンガリー映画で、しかも、それがハリウッドの大作がやるようなミリタリーアクションと言う事にちょっとびっくり。
また、ハンガリーはEU加盟国では、特異な存在で、親ロシアの方針に、オルバン政権による事実上の独裁体制を布いていた(尚、本作製作後の2026年にオルバン体制は終了)――そんなハンガリーで、しかも、国防軍の全面協力ともなれば、これは国威高揚の為のプロバガンダ映画としての作られた者だろう、と思って観た。
本作が描く「シャーマン作戦」は、実際の救出作戦で、映画エンドロールでは、実際の記録映像も紹介されている。実際には、NATO軍の一員として避難民救出に協力した、と言うのが現実で、映画をドラマ的に盛り上げるハンガリー人女性医師と、軍将校のエピソードは、ほぼ作られたものだろう、と思う。
その一方、NATO軍の中、EU内でも浮いているハンガリーが他国から揶揄されたり、小国故に最後まで居残り、他国から取り残された要避難者の救出を押し付けられる、などハンガリー軍の恨み節的な描写は興味深く観たし、不足する装備品を混乱の中、無断で調達(窃盗だろう、あれは)するのを、軍のプロバガンダ映画で堂々と描いてしまうのも国民性だろうか……?
飛行場などは軍の基地を使ったのだろうが、飛行場ゲートや、カブール市街を再現したセットはかなり大掛かりな上にリアル、戦闘シーンも迫力があり、しっかり描いていて、ミリタリ−アクションとして、なかなかのもの。
また、カブールからの脱出の中核を担ったのは米軍(8万人以上を避難させた)なのだが、その存在感がない……それも、ハンガリーがNATOの一員で避難の一部を分担したのみで、視点も兵士の視点中心とする事で、不自然さを抑えるなど、巧みとも言える。
気になったのは、前述の女医と将校とのエピソード。確かにドラマを作り、サスペンスを盛り上げるのに重要な要素であるのは認めるものの、終盤、ハンガリー軍が飛行場の外に出て、タリバンと交戦して救出する、と言うハリウッドばりの派手な展開とするのはさすがにやり過ぎではないだろうか?
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