これは、小学館文庫小説賞大賞を受賞した長月天音のデビュー作でもある同題小説を、浜辺美波&目黒連のW主演で映画化したもの。
監督は「知らないカノジョ」の三木孝浩。
就職活動で連戦連敗の清水美空は、故人の“迷える霊”が見える特異体質――それまで、誰も信じてくれなかった彼女の能力を、偶然出会った葬祭プランナーの漆原礼二は信じ、美空の言う事を真に受けて納得の行く葬儀を執り行う事が出来た。
それをきっかけに葬儀会社・坂東会館のインターンとして働き始めた美空は、教育係となった漆原の厳しい指導に心を挫かれそうになるが、遺族と故人にとことん寄り添う漆原にとって、故人が“見える”美空の力も役に立っており……
この映画、死者の霊が見えると言う能力を持つ人物を主人公としながら、決してホラーにする事なく、青春映画として、そして、あまり身近に知る事のない葬祭業を紹介するお仕事映画としても観る事が出来るものに仕上がっている。
物語の構成は、所謂、串団子方式で、4つの葬儀と、それに係わるドラマを、美空と漆原のふたりが繋いで行く、と言うものになる。
最初は、“霊が見える”と言う美空の特殊能力で目を引き、次いで故人と遺族のドラマで、観る人の心を揺さぶりながら、“葬儀”とはかくあるべきかを見せて行く物語はなかなか見応えがあるし、浜辺美波と目黒連と言う美男美女を起用しつつ、ふたりの間に安易に恋愛を生じさせる事無く、ふたりの家族の物語を深堀していく、と言う抑えた物語にも好感が持てる。
原作の力もあるが、これは、三木孝浩監督作品として、なかなかの出来と思う。
美空に見えるのは、この世に心残りのある迷える霊たちで、所謂“成仏”をする事で見えなくなる。
映画最後のエピソードは、美空の過去にまつわるもので、これで美空に係わる霊が成仏した事で、その能力も併せて消えた、と言う見方もあるようだ。
だが自分は、その葬儀の後、漆原に「すみません、まだ“見えます”」と美空が申し訳なさそうに言う事を期待したい。
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