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2026年09月09日12:53

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「廃用身」感想

 これは、映像化不可能とも言われた、現役医師作家・久坂部羊のデビュー作でもある同題小説を実写映画化。
 出演は染谷将太、北村有起哉、瀧内公美と、曲者が揃った。監督・脚本は「三つの光」の吉田光希。

 高齢者に対するデイケアサービスを行う異人坂クリニックでは、若き院長の漆原糾が、ある“画期的な”治療を考案し、施設に通う高齢者の間で密かに広まっている……それは、“廃用身(麻痺などにより、回復見込みがない手足を意味する)”を、意図的に切除する“治療”だった。
 施術を受けた患者からは、「身体も心も軽くなった」と好評だと言う。これは老齢期医療に革命を起こすものと、編集者・矢倉俊太郎は、漆原に本の出版を持ちかけるのだが……

 “廃用身”とは、久坂部羊による造語で、現実の医学用語ではない、と言う……だが、動かなくなった手足を切除する事で、患者や介護者の負担を減らす、と言うのは確かに理屈は通っており、現実にそうした施術が行われる場合がある、と言われても納得してしまうような説得力がある――実際、年齢と病のせいで、変形し痛む己の身体、と言う現実についつい照らし合わせ、身につまされる部分もあるし、本能的な嫌悪感もある……そうした、リアルで、生々しい感触のある課題を投げつけて来る感じ、これが本作の真価だろうか。
 原作小説は、フェイク・ドキュメンタリー的なものだったそうだが(原作未読)、映画は、ドラマを作り、漆原の治療が、様々な錯誤や事故により破綻して行く様をサスペンス仕立てで描いて行く……治療に対する過度な期待や、“問題”を解決するだけでは患者は救えない、と言う、医療に関する様々な課題を盛り込まれて内容には見応えがあり。中盤以降は、目が離せない展開となる。

 演者としては、やはり漆原院長役の染谷将太の存在感が抜群――相変わらずではあるのだけど、クールに狂ってる人物を演じるとなると、染谷将太は、上手い。
 あと、“廃用身”の施術を受ける障碍者を演じた六平直政の熱演も印象に残った。

 物語は、悲劇的な結末を迎えるが、ラストカットに、医療と言うものの本質が暗示されているように感じた。
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