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2026年08月20日13:07

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「ブルーロック」感想

 これは「史上最もイカれたサッカー漫画」の異名を持つ、金城宗幸とノ村優介原作の「ブルーロック」を実写映画化したもの。
 出演は、高橋文哉、櫻井海音、高橋恭平、野村康太など、身体能力の高い若手を揃えた。監督は、「クレイジークルーズ」の瀧悠輔。尚、本作は、日本サッカー協会の全面協力のもと撮影され、元日本代表の松井大輔がサッカー監修を務めている。

 サッカー日本代表のワールドカップ敗退の後、日本フットボール連合は、絵心甚八発案のワールドカップを制する為のプロジェクト「ブルーロック(青い監獄)」を発動。300人の高校生ストライカーを招集し、“世界一のストライカー”を生み出す“実験”を開始する。
 脱落した299人は、生涯日本代表に選出されないと言う狂気のトライアウトに臨む中に、無名の存在であった潔世一もいた……

 本作は、初回鑑賞時は原作未読、スピンオフ作品である「-EPISODE 凪-」のみ鑑賞した状態で臨み、その後、原作漫画を読んでから映画2回目を鑑賞、感想は2回目を観た後のもの、となる。
 
 本作は、高校生が主役のスポーツものではあるのだが、現実的な設定から離れ、監獄のような閉鎖環境の中、生き残りを賭けて争うと言う“デスゲーム”的要素を持ち、日本のスポーツもので定番の友情や団結ではなく、仲間を踏み台にしてでも勝つ、エゴイストたる事を求められる、と言う内容から「イカレた」と称される事となったのだろう――実際、敗北して泣き崩れるライバルを見下ろして「気持ちいい」と主人公に言わせる物語は異色だが、そこにある種の痛快さがある事は否めない。それが原作漫画が人気作となった所以だろうか。

 映画は、その原作漫画をかなり忠実に再現している。J−ヴィレッジなど実際のトレーニング施設を使い、ブルーロックを見事に再現しているし、登場人物を演じる俳優も、不自然にならない範囲で、見事に原作のキャラクターを実写化しているのだ――特筆すべきは、絵心甚八を演じた窪田正孝で、痩身に感情のこもらない目、そして不遜な口調と、これはもう文句なしの実写表現だった。
 試合シーンも見事なシーンは多い……まぁ、漫画ならではの超人技はVFXを使うが、俳優が実際に見せる場面も少なくない。特に、櫻井海音演じる蜂楽廻のドリブル突破……これ、吹き替えではないか、と疑ったのだが、実は櫻井海音、フットサルのジュニア日本代表選手だったそうで、そりゃ上手い訳だ……
 
 映画は、現在39巻が刊行されている原作から、一次セクション終了までを描いている。日本映画によくあるベタベタした描写を避け、(いささか煩くは感じるが)音楽で盛り上げながらテンポよく物語を進めて行くのにも好感が持てるし、ランキング底辺の主人公・潔と五十嵐が、ひとつひとつステップを上がって行く感じは定番展開ながら引き込まれる。
 面白い映画ではあるが、問題も多い――これは、根本の問題なのだが、やはりサッカーを映画で描くのは難しい……サッカーの選手がそれぞれの思惑で、必ずしも連携せずに行動し、全てが同時に起きる目の離せぬ面白さ、それを表現する事は難しい……原作漫画にある主人公の思惑や内心の葛藤、それを文字にしてコマに押し込んでしまえば、その“一瞬”に描ける漫画と言う表現と異なり、映画では、それを演者に喋らせてしまうので、どうしてもテンポが悪くなってしまう。まだまだ、工夫や表現の余地はあるとは思うが、これはサッカーを表現する難しさであるだけに解決は困難だろう。
 あと、スモークの多用など、無用な演出も気になる部分だ……室内グラウンドにスモークを炊き、霧が立ち込めたように見せるなど、意図も不明だし、これは止めて欲しかった。

 また、自分はあまり詳しくはないのだが、それでも、ストライカーが“点取り屋”としてエゴイズムを剥き出しにしたプレイをすべき、と言うのはちょっと古いようにも思える――今や、エースストライカーと言えども高い位置でプレスをかけるなど、チームの為に守備的役割を担うのは常識となってなっているからだ……確かに、原作執筆前のかつての日本代表は、ペナルティエリアで逡巡してパスを回し、得点チャンスを失う事が多く、観客にフラストレーションを与えており、その不満が、本作を生んだのは理解出来るし、サッカー日本代表だけでなく、日本人らしくある事にも疑問を投げかける本作の面白さは認めるが、原作漫画が世に出た8年前からの時間が、本作を現実から乖離させたものとなってしまったのは残念な事のように思う。
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