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2026年08月02日22:00

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『ネネットとボニ』感想

〜フランスの名匠クレール・ドゥニのキャリア初期の代表作のひとつで、南仏マルセイユを舞台に、若者たちの行き場のない孤独と言葉にならない親密さが交差していく様子を静かに描いたドラマ。登場人物たちの日常の断片の中に潜む感情の揺らぎを、説明を排した繊細な演出で丁寧にすくい取る〜
〜港町マルセイユで暮らす19歳の青年ボニはピザ屋で働きながら、どこにも属さない日々を送っている。そんなある日、疎遠になっていた15歳の妹ネネットが突然現れ、ボニの部屋に転がり込む。ネネットは妊娠しており、行き場を失っていた。兄妹は互いに踏み込めない距離を保ったまま、ぎこちない同居生活を過ごす。ボニはパン屋の女性に心を寄せるが、その想いを現実に結びつけることができない。ネネットは自らの身体と向き合い、未来を選び取ろうとする。残酷な世界の中で、欲望と優しさは静かに関係を変えていく〜<映画.comさんより>

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私の中でクレール・ドゥニといえば『美しき仕事』
今作の主役が『美しき仕事』であまりにも美しかったグレゴワール・コワンと知って、これはもう’私が観なくて誰が観る’モードとなり、超久しぶりの恵比寿へ遠出!
渋谷までも遠いんだけど、そこから1駅の恵比寿が、私の通常テリトリーから外れているゆえ、あまりにも遠く感じる。

されど、遠出した甲斐あって、猛烈に好きな作品でした。

1996年製作の今作。
冒頭はなぜか違法テレホンカード売買(笑) これ、今もあるのかなあ。
亡き義母が、こちらに電話してくれる時、誰に聞いたのやら、国際テレホンカードっていうのをよく使っていたのを思い出しました。
「あっ、もう、残高、なくなるから、また」
そのテレホンカードは、本編には全く関係ないんですが、あるシーンでそのカラクリが明かされ唖然。

主役はタイトルどおり、ネネット(妹)とボニ(兄)。
どうやら両親が離婚した時、ネネットは父親に、ボニは母親に引き取られた模様。
ネネットは現在寄宿学校に通い、ボニは母親が亡くなった後もその家にそのまま住んでいて、仕事は’一応’、ピザ職人。
’一応’というのは、気が向いた時にしか働かないから。

ボニのもっぱらの関心事は、近くのパン屋の女房。
その豊満な胸を妄想しながら、たびたびの自慰行為。
その映像は途中から、抽象的な光の動きとなり、こちらは逆にドキドキさせられる。
途中から、妙な音が聞こえてきて、なっ、なっ、なんだって思っていたら、前日にもらってきたタイマー付コーヒーメーカーがコーヒーを落してたっていうね。

終盤には、これまたボニのなんとも言えない悶々シーンがあって〜。
パン屋ではパン生地がこねられ、ピザ職人はピザ生地をこねる。
ボニは球体の生地の表面をそっと触るところから始まって、やがて抑えきれない欲望をピザ生地にぶつけ「こうしてやる。まいったか」って、もう、切ないやら、おかしいやら。

ネネットは妊娠してしまっていました。
それで、寄宿学校に戻れないと思ったのか、ボニのところにやって来る。
病院に行ってみると、もう、妊娠5ヶ月になっていました。中絶するには、ギリギリ!?
でも、ネネットはどうするか決められなくて、気づいたら7か月に。

生んで里親に出すこともできるという選択肢を教えてもらうネネット。

でも、ある時、浴槽にマスタード色のどろどろした液体を入れ、酢酸を飲み...。

いきなり現れたネネットを最初は鬱陶しく思っていたボニ。
されど、妊娠がわかってからは産婦人科に連れて行ったり、生まれてくる赤ちゃんのために、部屋を片付けてスペースを作ったり、なにかと妹のために(赤ちゃんのために?)動き出す。

※予告編
https://youtu.be/wwyeZOf5Pjw?si=ytLrwGUetb6bIbks

グレゴワール・コワンはやはり魅力的。
ネネットのアリス・ウリも自然な演技が良き。
出番は短いものの『バッファロー’66』の前のヴィンセント・ギャロも出演。
パン屋の女房ヴァレリア・ブルーニ=テデスキは、女性の目から見てもとってもセクシーで表情がいちいち素敵。

今作の一番面白いところバッド(下向き矢印)
ネネットは全くもって、生まれてくる赤ん坊に興味を示さない。分娩中もその痛さに暴言連発。
ようやく生まれた後も、抱っこはおろか、赤ちゃんの顔を一切見ようとはしなかった。
ところが、ボニは、父性に目覚めたのか、赤ちゃんを守るために、あらゆることをやらかしていくっていう。

ラストシーンバッド(下向き矢印)
ボニは、赤ちゃんを抱きしめ、幸せそうな笑みを浮かべている。
ネネットは、煙草を吸いながら、どこかさばさばした表情。
この対比が、とても強く印象に残りました。

独特の色使いもすごく良かった。
ネネットとボニ、それぞれのクローズアップ多め。

よくわからなかったのが、終盤、兄妹の父親が愛人と車に乗っているところに、ボニが2人乗りバイクでやって来て、拳銃で撃っていたようなシーン。あれは現実だったのかしら?

総評:リアルな感情を、時にリアルじゃない表現を用いつつ、リアルに表現。独特の息遣い。粗さすらも魅力的。
万人受けはしないかもだけど「大丈夫、ここにあなたの猛烈な支持者がいるわよ〜スピーカー」って声高に叫びたくなった。
あまりにもの満足感に帰り道は足取り軽く〜。改めて自分の好みを確認できたかも。大好き!4.3☆
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