これは、映画レーベル・NOTHING NEWによる実写長編第1作となるホラー映画。
出演は染谷将太、唐田えりか、西村まさ彦。監督は、短編「VOID」で注目され、本作が初の長編監督作となる岩崎裕介。
コンビニエンスストア「エニーマート」のオーナーの息子で、副店長・堺は店の仕事と、オフタイムはマッチングアプリでの出会い探しと言う毎日を繰り返し、20代のほとんどをこの店で過ごして来た。、
オーナーは、己の規則で店と変わらぬ日常を支配していたが、新人アルバイトの小河により、店内の均衡が静かに崩れ始め……
これは日本社会を覆う“平穏”と“安全”と“清潔”さと、それを実現させる“決まり”と“同調圧力”が如何にして人間性を失わしめるか、と言うホラー、であろうか。
岩崎監督は、ホラー映画でありがちなカタストロフの末に世界や日常があるべき姿を取り戻す、と言う路線を敢えて捨て、惨劇の末に、主人公を元いた非人間的な日常に埋没させる、その静かな恐怖にもぞっとさせられる。
そんな主人公を演じるのは染谷将太で、“死んだような目”と“静かな狂気”を見せるのにはこれ以上ないキャストだろう……冒頭の“死んだような目”を更に下回って見せる最後の表情はさすが、と言うしかない。
一方、そんな“状況”にひとり対峙する小河を演じた唐田えりかは、掴みどころのない女優だけど、本作での1本筋を通した演技で、これまでにない存在感を見せている。
物語は1軒のコンビニに終始するが、そこに込められたのは正に現代の日本社会をカリカチュアライズしたものに他ならない。
それを、時としてブラックコメディ要素を含ませつつ、静かに、そして何とも厭な感じに仕上げた……これには岩崎監督の確かなセンスを感じた。
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