〜東京の片隅にあるコンビニ、エニーマート倉冨町7丁目店の副店長・堺は、学生時代に働き始めて以来、気づけば20代のほとんどをこの店で過ごしてきた。レジ打ちに品出し、廃棄処理。そしてスマホゲームにマッチングアプリ。毎日はただ同じことを繰り返して過ぎていく。オーナーはコンビニというシステムの中でわずかな乱れも許さず店を支配しているが、そこへ新人アルバイトの小河が現れたことで、店の均衡は静かに崩れ始めていくから<映画.comさんより>
そこそこ内容に触れていますのでご注意下さい
『廃用身』の染谷将太がすごく良かったので、今作も観てみることに。
ちなみにタイトルの「チルド」は、まあチルド食品のことなんでしょうけど、英語の「chilled」だと「落ち着いている」等の意味もあります。
ただ「chilly」になると「怖くてぞくっとする」というホラーっぽい意味になります。
常温でも、冷凍でも、揚げ物でもない’チルド’っていうのが、絶妙なタイトルかも。
冒頭から、染谷将太の死んだような顔にやられる。
これこそまさに、監督の期待どおりの顔だったんだろうな。
染谷将太演じる堺は、しばらくしてこのエニーマートの副店長ということがわかります。
登場人物は、エニーマートオーナー、店長、副店長、従業員、客、本社からやってくる担当者、そして隣にできたキッシュ店の店長、等々。
この堺、コンビニの外では、180度、雰囲気が変わります。
マッチングアプリで知り合った女性たちと会っている時は、どこから出てきたのかわからない眩しい笑顔を放っていて・・・。
最初のうちは、いわゆる’コンビニあるある’。
消費期限切れ食品廃棄問題、万引き疑惑、ヤバい客、マニュアル重視、外国人従業員、本社からの指示。
従業員の誰もがマニュアルどおりに働いていれば問題はなかった!?
だが、まず、ある人物が○○してしまう。
しか〜し、オーナーの心にあるのは、スタッフ補充のことだけ。
ある時、小河という美容師を目指す女性が新人アルバイトとして入ってくる。
(小河の前に面接に来たバンドマンの髪色チェックには吹き出した)
小河はいい意味でも悪い意味でも、これまでのスタッフとは違っていた。
万引きは許せないし、辞めた(辞めさせられた)スタッフの理由も知りたいし、堺に頼まれてお店のPOPを作ったりする。
その全てが、オーナーは気に入らなかった。
オーナーは人間的感情が欠落しているように見える。とにかくマニュアルに沿って1日を終わらせたい。
そして、堺にも、それがジワジワ浸透しているように思える。
(2人の関係がわかって、なるほどってなるよね〜)
堺は、とりあえず外に出て他の人たちと触れ合えば、まだ普通に振る舞えたりしているが、実際は会話の話題が狭まっている。(なんせ、コンビニ、ゲーム、マッチングアプリの日々ゆえ)
劇中2回、ゲームセンターでメダルを落とすゲームをやっている女性が出てくる。
1回目でもしかして...と思い、2回目で確定。堺がお金を渡していたのは堺の母親。
状況説明は、確かに、あれだけで十分だった気がする。
これは私の推測だが、おそらく母親は以前は父親のコンビニで一緒に働いていた。
だがメンタルをやられて・・・今は別居か、離婚?
毎日’時間を潰すためだけに’ゲームセンターに行っている。なんという虚無。
堺がマッチングアプリで知り合ったある女性はコンビニのことをこう話していた。
「コンビニって通過点よね。誰もそこに留まらない」
堺「・・・」
またこの女性との別れ際に堺は「たくさん、しゃべっちゃった」って言うんだけど、その女性は「全然しゃべってないわ」と返す。
これと対比して、深夜のファミレスで、堺は、たまたまそこで勉強していた小河と同じテーブルに座ることになり、自分の夢もどきの「家庭菜園をやりたくて」というような話をする。
そして、まもなく朝という別れ際に、また堺が「たくさん、しゃべっちゃった」と言うと、小河は「ほんとね〜、いっぱいしゃべったね」と答える。
これって、つまり、後者は、話のキャッチボールが出来ていて、気持ちが入っていた会話だったっていうことかな。
ちなみに、2人が夢中になって話していたそのファミレスの別のテーブルでは、とんでもないことが起こっていたのだが、堺と小河には、その光景はまるで視界に入っていなかった。普通は絶対気づくはずなのに。
このシーンはそのまま、何か、社会風刺になっていたんだろうか。
※予告編
https://youtu.be/j0eDXiLpVOA?si=QHpdjHlvB7AcK_qG
店長となっていた堺は意気込んで研修に出かける。
堺がいない店内には、堺に頼まれて小河が作った焼き鳥割引のPOPが飾られている。
ある従業員は、マニュアルとは違う挨拶を繰り返している。
本社担当者のある部分が、オーナーをイラつかせる。
それらが重なって・・・オーナーの怒りが爆発する。
染谷将太、やっぱりいいわ〜。面白いわ〜。こんな多彩な表情ができる俳優は貴重!
影の主役は、西村まさ彦。西村雅彦のころはよく知ってたけど、改名してたのね。
いやあ、こんなに上手い俳優さんだったのか。凄いわ。
この人の怪演がなければ正直、この作品、ここまでレベル上がらなかったと思う。
ネタバレになるけど、結局無事だったのは
�―⊃Δ�決まり、予定どおり辞めていく男子大学生
��破棄すべき食品を持ち帰ったため辞職することになった女性
�3姐饋予抄醗�
なのよね。
とりわけ��に関しては、終盤のシーンが地味に衝撃だった。
店内が修羅場になっているのに、その中を、1人の外国人スタッフが、ゴミ袋を手に淡々と歩いて行ったのだ。
あのファミレスと同じように「視界に入らない」または「自分には関係ない」ということなのか。
別の見方をすれば、岩崎裕介監督は外国人従業員を守ったとも言える。
日本で働く外国人があれこれ言われる昨今、監督はこの外国人に淡々と仕事を続けさせた。
それこそが外国人従業員に求められていることだからと。
総評:こんなこと起こる訳ないとわかっていても、観賞後はコンビニに行くのが怖くなります。ちょっとだけですが(笑)
ただのホラーじゃない。しっかり社会批判も入っている。ラストシーンも絶妙。
マニュアルの便利さはわかるけど、それに固執しすぎるのもどういうものかということかな。
思っていた以上に面白くてビックリ。これからも染谷将太出演作は気になりそうだわ。興味ある人にはオススメ!3.9☆
ログインしてコメントを確認・投稿する