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2026年05月10日09:30

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「プラダを着た悪魔 2」感想

 これは、世界中に旋風を巻き起こした「プラダを着た悪魔」、20年ぶりの続編。
 監督のデヴィッド・フランケル、出演のメリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、エミリー・ブラント、スタンリー・トゥッチといったスタッフ・キャストが再結集。あれから20年後のファッション業界で、彼女たちの新たなドラマが描かれる。

 報道記者として活躍するアンディは、ピュリッツァー賞受賞のその日、出版不況と業界再編の中、新聞社を解雇されてしまう。
 失意のアンディに、古巣の出版社から声がかかり、「ランウェイ」の危機を救う為、特集エディターとして編集部に戻る事になった――だが、あれから20年、編集部とミランダ編集長の変化に驚くアンディ。そして、同僚のエミリーは、今やハイブランドの幹部となっていた。
 すっかり様変わりした「ランウェイ」を巡る状況の中、アンディの悪戦苦闘の日々がまた始まる……

 前作「プラダを着た悪魔」は製作費(推定)3500万ドルと言う低予算映画ながら、最終的に世界興行3億6500万ドルと言う大ヒットとなり、アン・ハサウェイを一躍、トップ女優に押し上げたエポックメイキングな映画だった。
 そんな前作の続編として、本作は格段に力の入ったものとなった。主要キャストはそのままながら――いや、そのままだからと、言うべきか。アン・ハサウェイ、エミリー・ブラントは、今や主役級のトップ女優だし、それに大女優メリル・ストリープが加わるのだから、それだけでも大変豪華なキャストになる。今回は、イベントやパーティーに集まるセレブ達も、本物のセレブがカメオ出演しており、レディ・ガガのステージまであると言う豪勢なものとなっている。

 ただ本作は、往年のキャストが顔を揃えた“同窓会”映画には収まらない。登場人物が、ちゃんと20年の年月を重ねている、と言うのが判る設定と演出がいい。ジャーナリストとなる夢をかなえ、栄誉を掴みながらも失職したアンディ。“悪魔のような“ミランダ編集長でさえ、「ハラスメント」告発に縛られて、暴言も横暴な振舞いも出来なくなっている、と言うのには時代を感じたし、第一作の青春映画的なビルディングストーリーを、積み上げて来た人生と、建て直しの人間ドラマとして再構築しているのもいい。
 そして、更に、現在のメディアと出版の置かれた状況を取り込んでアップデートした物語もなかなか――売れない雑誌、ネットメディアへの対応、ファストファッションの台頭を描いて、本作では、ミランダの悪戦苦闘が描かれる事になる。ミラノの大聖堂で、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を前に、金とビジネスの話しかしないIT長者と対峙するシーンの見事さ……ここで、「富と栄誉などより、最後に残るのは芸術だ」とか判り易く言い返さない辺りが、このシリーズの成長だろうか。

 アン・ハサウェイは、第一作の時のような若さ故のみずみずしさこそ薄れたが、美人度はむしろ上がった感じ――たれ目に大きな口で、デビュー時には個性を強く感じさせたアン・ハサウェイだが、それに見慣れて来た、と言う事か。
 また、20年と言う歳月と76歳の年齢を感じさせないメリル・ストリープの健在ぶりにも驚かされる。

 また、アンディのファッションを移動中に次々に変えて行くシーンなど、第一作へのオマージュだったり、再現されていたりするシーンもあり、ファンサービスも十分――今回、直前に第一作を見返した事もあり、演出やテンポなど、現代の映画としてアップデートされているのも実感出来た。
 ただ、「ランウェイ」編集部を舞台としたアンディの青春映画だった第一作に対し、本作は、基本が「ランウェイ」誌の存続を懸けた“大人のハナシ”であり、更に、群像劇の要素が加わって、物語はより重層化・複雑化している為、テンポのよさが仇になって物語について行けない人もいるのではないか、と危惧してしまうが、それでもお洒落で楽しく、そして痛快な話である事に間違いはない。これは面白かった。
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