これは、ピクサーで「インサイド・ヘッド」の製作などに関わっていた、ダニエル・チョンの初監督作品となる長編アニメーション。
「平成狸合戦ぽんぽこ」からインスピレーションを得て製作された、と言うビーバーを主役とした作品だ。
幼い頃から動物が友達だったメイベル・タナカは、かつて祖母と過ごした大事な場所である森の中の池を埋め立てると言う高速道路建設事業への反対運動を続けていた。
そんなある日、メイベルは、通っている大学で、意識を動物型ロボットに転送する“ホッパー”と言う機材の存在を偶然に知り、自らビーバー型のロボットに意識を転送、ビーバーとなって、動物たちの暮らす森に入って行く。
ロボットに意識転送されると、動物と意思疎通が可能となり、メイベルは大喜び。そこで、ビーバーの王キング・ジョージや、熊のエレンたちと出会い、自然界のルールを学んでいくが、そこは予想以上にシビアな世界だった……
この映画、「平成狸合戦ぽんぽこ」にインスパイアされた、となっているが、より大きな影響を与えているのは「アバター」だろう。原題は、意識転送マシンを意味する「HOPPER」だし、作中でもそのことを「まるで『アバター』じゃん」と台詞で言ってるくらいなのだ。そして、ビーバーになった主人公が森の生き物を集め、人間の開発に対抗しよう、と言う展開もまたそのまま、と言っていい。
また、本作の自然描写と動物たちの生態表現は、なかなか優れもの。ビーバーが森の環境を変え、棲みやすいようにする、と言うのは現実の事だ、と言うし、動物たちが互いにコミュニケーションを取りながらも、「腹が減ったら食ってもいい」と言う事になっている、と言う弱肉強食、もとい食物連鎖を描いでいる辺りは、「ライオン・キング」などより遥にリアルなものになっている、と言うのは特筆すべきだろう。
その一方で、映画は徹底的にコメディに仕立てられている。前述の弱肉強食をブラックジョークに、時に呆れてしまう程のバカバカしい描写をする(“頂点捕食者”の登場には思わず失笑……)のだ。また、終盤のホッパーを使って、登場人物の意識が次々に入れ替わるドタバタコメディには、その目まぐるしさに面食らいつつも笑わされた。
だが、ふざけているだけでなく、本作のテーマは「共存共栄」と「コミュニケーション」と言う、現代社会においても重要な要素を描いている。
主人公が日系人だから、周囲とのコミュニケーションが上手く行かずに浮いている、と言うのは、邪推が過ぎるだろうが、リアリティのある無表情な動物たちが、ホッパーで意識転送されてコミュニケーションをとれるようになると、表情豊かに見える、と言うのもコミュニケーションの意味を映像で説く見事な描写だし、ディスコミュニケーションが事態を悪化させる、と言うのも正に現実の引き写しだ。
そして、厄介に思える隣人をも、排除ではなく、コミュニケーションをとって共存する、それが目指すべき社会なのだ、と言う着地点には、意外な社会性を見せられた感じがした。
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