これは、田中麗奈主演、実際に起きた主婦による黄金窃盗事件からインスピレーションを得て描くクライム・コメディ。
監督は、「津田寛治に撮休はない」公開が控える萱野孝幸。共演に、「おしりょん」の森崎ウィン、グラビアアイドルの石川恋、本作のプロデューサーも務める中村祐美子。
平凡な日々に退屈していた専業主婦の美香子は、ある日、百貨店で開催されていたSGCの大黄金展会場で、出来心から黄金のおりんを盗んでしまった。
それは程なく発覚し、示談する事で起訴される事は免れた美香子だったが、それが弱みとなってSGC社員の金城光輝に誘いを断れず、有力者への性接待の場に連れ込まれてしまう。
美香子は、金城への報復と、「私にしかできないことをする」と言う夢の実現の為、SGCが密かに手に入れた100億円の秀吉の金茶碗を盗み出す計画を立てて……
本作はSGCゴールドカンパニーの全面協力で製作され、作中の金製品の多くが本物で、登場した金製品の総額は数百億円にもなると言う。金の特徴や、金投資のメリットなども語られ、場面の切り替えの際には、SGCのCIマークが映し出されるなど、全編SGCの宣伝のような映画で、今時、ここまで露骨なものも珍しい、と思える程だった。
そんな豪華な一面のある本作だが、その内容は、何とも軽妙なコメディとなっており、まるでコントのような演出には時に面食らう。だが、思いのままに突っ走る田中麗奈演じる美香子と、ぬるっとしたうさん臭さのある森崎ウィン演じる金城の駆け引きはなかなか見せるし、クライマックスの黄金茶碗の盗み出しは、手際は悪いものの、それ故に最後までサスペンスフルに見せるのだから大したものだ。
気になったのは、萱野孝幸監督、全面バックアップのSGCの何が気に入らなかったのかは不明だが、描写がなかなか酷い――窃盗事件を宣伝に使い、女性を騙して有力者への性接待の道具とし、女子社員には色仕掛けで客を篭絡させるなど、令和の今でなくとも許されないようなモラルハザードの数々を描いて、企業イメージの失墜にならないのか、他人事ながら気になった程……まぁ、コメディだから、と言う言い訳はあるのだろうけれど、決して笑えない部分も含まれていたように思え、要らぬ心配をさせられたのは減点材料だと思う。
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