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2026年04月02日00:27

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「90メートル」感想

 これは、「か「」く「」し「」ご「」と「」の中川駿監督が、母親を介護した自身の経験を基に作り上げた半自伝的映画。
 主演は「君たちはどう生きるか」で声優を務めた山時聡真。共演が、菅野美穂に、「ミート・ザ・ワールド」の南琴奈。
 フォト

 母子家庭で育った藤村佑は、高校2年のとき、ASLを患った母・美咲の介護のため、バスケットボール部を退部……ヘルパーが日中8時間しか頼めず、夕方から翌朝までは佑が美咲の介護をしながら家事をしなければならなかったからだ。
 それを誰にも言えずに迎えた高校3年。東京の大学への進学を希望しながらも、母をひとりにすることなど出来ないと言う佑の心に、母からの呼び出しチャイムの音が重くのしかかって……

 これは、母と息子の感動的ドラマを狙ったもので、中川駿監督の実体験――ただし、学生時代ではなく成人後、のようだ――でもあると言う。確かに胸を打つシーンもあり、この映画で、製作陣の狙い通り「泣く」人がいるのも理解出来る。
 ただ、自分は、あちこちのシーンでひっかかり、苛立ち、どうにもこのドラマに感動出来なかった、と言うのが正直な所――私自身、老父と暮らし、家事をしつつ日々の通院などの介護補助も行っているので、映画内の事は決して他人事ではなく、むしろ共感をさせて欲しかった所なのだが、何しろ、主人公の佑の介護の描写がさすがに酷い……勿論、そうなるように演出してるのだろうが、母の言葉を最後まで聴かずに、違う事をして衝突するとか、「好きでやってる事じゃないから」言う事を聞けないとか見せられると、さすがにイラっと来るのだ。
 更に、映画中盤からは24時間自宅介護体制が整って、佑は一切の家事・介護から解放されるのだが、それは母の美咲がまだ動けるうちに自身で準備した事であり、更に、それに応えたケアマネージャー努力の結果だ……そして、今度はそうなると、佑は「母親を介護士にとられた」とでも言うように拗ね始めるのだから、もう呆れるしかない。
 そもそも、専任介護士5名による24時間完全介護、と言う体制自体、かなり恵まれているように思え、その上での悩みなんて……と言うのも感情移入を削いだ部分になっているように思う。

 あと、佑が気持ちを口に出さない、と言う事でドラマを作ろうとする展開には、幾度も苛々させられるし、そもそも、そこまでして隠したい、と言う意味も分からない。
 また、大学進学に進む佑に寄り添い、バスケ部員との仲を取り持つなど尽力したマネージャーの杏花の存在と、その後が終盤放り出されてしまうのも気になったし、佑の進路が、母の介護経験により軌道修正された、とかあってもよかったように思う……このように、とにかくひっかかる描写が多いのだ。

 確かに、「介護」と言う煩わしさを介しての家族の関係を問うドラマと言うのは判るし、見るべきものもある、とは思う。確かに、終盤の別離と、そこで明かされる「90メートル」と言うタイトルの意味にはぐっと来るのだ。
 それだけに、そうしたドラマにちゃんと感動させて欲しかったなぁ、と思う映画だった。
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