これは、WOWOWで配信された同題の連続ドラマを再構築したホラー・サスペンス。
監督・脚本・編集は、東京藝術大学大学院の映画製作プロジェクトをきっかけに発足した監督集団“5月”に所属する関友太郎と平瀬謙太朗。
出演は“5月”の長編デビュー作「宮松と山下」に主演の香川照之、中村アン、竹原ピストル、松田龍平。
将来に悩む女子高生・北川祐里、飲酒運転事故で全てを失った元ドライバーの倉本慎一郎、しっかり者の清掃員・崎山伊織と年下の理容師・皆川慎、負債を抱えた旅館の支配人・岸文也――彼らのささやかな日常は、突然の死で終わりを迎える……だが、彼らの周辺には、その死と共に姿を消す、ある“男”の存在があった……
この死の連鎖を、警察は自殺や事故として処理するが、刑事の堂本翠は妙な気配を感じ取り、その真相を追う……
この映画、評価が難しい……丁寧に描かれる日常描写に、ある“男”が入り込み、並みのホラーであれば、徐々に不安と違和感を盛り上げて行く所で、逆にほっこり和ませておいてから突然の死でぶった切ると言う展開を、プロローグを除いては時系列を無視して4つ平行に走らせると言う力業。これが混乱もせずに観られる、と言うのは存在感ある俳優の力を借りながらも、監督の演出力を誉めるべきだろう。
中盤以降は、堂本刑事の視点で事件を時系列に整理し、真相に迫るミステリー要素を見せて行くのだが、この物語転換もなかなか、と思った。
演者としては、やはり、ある“男”を演じた香川照之が凄い……顔は同じだけど、名前もプロフィールも違う人間を、違和感なく演じる、役者としての凄みを見せつけられた感じがした。
惜しいのは、やはりミステリーとしては中途半端になってしまっている事だろう……確かに、ある“男”は存在した、だが、死には関わっていない、と言う“真相”に堂本刑事が辿り着いてこその、「災」たる死を呼び込む“男”と言う“恐怖”を描いた事になるのだろう、と思う。
現状では、その“真相”には、観客が自ら辿り着かなければならない、と言う所に腑に落ちないものを感じてしまった。
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