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2026年02月14日10:46

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「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き」感想

 これは、2025年7月からTV放送・配信された、1話3.5分、全12話のショートアニメ「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」を再編集し、新たなシーンを加えた劇場版。
 監督・脚本・原作・制作・キャラクターデザイン・音響監督を務めたのは、本作の前章にあたる個人制作アニメ「ミルキー☆ハイウェイ」が好評を博した亀山陽平。

 銀河道路交通法違反で逮捕された強化人間のチハルとサイボーグのマキナは、取り調べに当たった銀京府警察署の巡査・リョーコから、今回の処分についての説明を受ける。それは、同じタイミングで警察に捕まった強化人間のアカネとカナタ、サイボーグのカートとマックスと共に、社会奉仕活動として惑星間走行列車“ミルキー☆サブウェイ”の清掃をすることだった。
 それは簡単な任務のはずであったが、突如ミルキー☆サブウェイが暴走――だが、その陰にはある企みがあって……

 本作のほぼ全てを手掛けた亀山陽平は、専門学校在籍中に卒業制作として2022年に作った「ミルキー☆ハイウェイ」で注目され、「クレヨンしんちゃん」のシンエイ動画から声をかけられ、それで製作した本作は、いきなりのTV放送で、そこから1年も経たないうちに監督した映画が全国拡大公開されるに至った。
 かつては集団製作するのが常識だったアニメが、テクノロジーにより個人で製作出来るようになった、と言うのは「ほしのこえ」をひとりで作った新海誠の例もあり、今や驚くような事ではない――しかし、本作は3Dアニメであり、劇場公開可能なレベルの映像作品を、ひとりで作り上げてしまった、と言う事、更に、デビュー作がいきなりTV放送、そこから1年も経たずに映画デビューと言うスピード感にはやはり驚く。
 確かに、マンガを考えれば、物語から絵まで全部作家が手掛けるのは珍しくなく、いきなりの商業デビューで大ヒット、と言うのもなくはない……逆に言うと、テクノロジーの進歩が、映像作品をマンガのようなスピード感で出来るようにした、と言う事でもあり、本作は、また様々な意味で、今後の映像作品の製作に対し、大きな影響を与えるものになるのではないか、と思う。
 また、オリジナルの1話3分半・無料配信と言うのは、やれコスパだとタイパだのと煩く、集中する事のない若者、と言うか現状の消費社会に適したスタイルであったことも見逃せないだろう。

 そんな背景を抜きにしても、本作は非常に面白い。
 未来がキラキラと明るいものではなく、薄汚れたもの、と言うのは目新しい設定ではないが、本作の’70〜’'80年代のバブル以前の、国際化されていない日本をモチーフとした設定、そしてオフビートなノリが楽しい。
 他者への無関心、それでいて趣味など共通する部分があれば、一気に距離を詰めてしまうと言う人間関係、人の話を聞いていないが故の会話の重なりなどもリアルで、正に、登場人物らが、そこに「いる」ような感覚で、観客を巧みに物語世界に引っ張り込む。
 物語も前半から張った伏線に、カートとマックスの孤独感、そしてアカネのカナタに対する感情など、さりげないドラマを重ねて、クライマックス前にはみんなが一丸となって立ち向かう事になる、と言う展開には感動をしてしまった。
 それだけでなく、書き込まれたディティール、様々な設定、センスのある音楽チョイスなど、見所満載、これは面白い。


PS
 本作に文句をつけるとすれば、それは「短すぎる」。
 オリジナル3.5分×12回で42分、それに4分少々の新作映像を加えて47分……せめて、亀山陽平監督の出世作「ミルキー☆ハイウェイ」を併映するくらいの事はして欲しかったなぁ……
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