これは、奇才サム・ライミ監督が、無人島を舞台に描くサバイバル・スリラー。
数字には強く、仕事は出来るが、人との距離感が判らないリンダは、前社長からは信頼されていたが、その後を継いだ若社長のブラッドリーとウマが合わず、露骨なハラスメントを受ける事になる。
そんな社長のタイ出張に同行する事になったリンダだが、乗り込んだ飛行機が墜落、目を覚ますとそこは誰もいない孤島だった。しかも、事故から生き延び、島に流れ着いたのは、リンダとブラッドリーのふたりだけ。リンダは、得意のサバイバルスキルを発揮、怪我で動けないブラッドリーの面倒を見る事になる。
やがて、ふたりの力関係が逆転し、ブラッドリーを一時でも服従させた事が、リンダの心の内を変化させて……
この映画、サバイバル・スリラーと銘打たれてはいるが、その実態はブラックコメディだろう。
確かに、ショックシーンを使ったホラー演出もあるし、血まみれスプラッター描写もある……だが、本質的には、他人を騙し、陥れ、或いはバカにする、と言う負の心理や、汚物や吐しゃ物と言う生理的に嫌悪感を感じるものをネタとしたブラックジョークの連発が見せ場となっているように思う。
そんな映画の主演は、「スポットライト 世紀のスクープ」のレイチェル・マクアダムス。かつてはロマコメで活躍していた彼女も、アラフィフとなって最近は姿を観る事も少なくなっていた……これは、久々の映画主演ではないだろうか?然しながら、無人島ですっぴんで露出高めの恰好をしても肌は綺麗だし、年齢不詳の魅力があるのはさすが、と思う。
若社長役は、「メイズ・ランナー」シリーズのディラン・オブライエンで、こちらは本作の憎まれ役。思わずイラっと来る高笑いは最高だった。
無人島サバイバル、としては「ロビンソン・クルーソー」以降、様々な作品があるが、本作に近いものは「逆転のトライアングル」が挙げられるだろう。無人島で生き抜く為、それまでの上下関係が逆転する辺りや、汚物ネタ、そして終盤に明かされるある設定など、そのままではないか、と思ってしまった。
物語は、ブラッドリーの怪我とサバイバルスキルの差により、逆転していた立場が、時が経過して怪我が癒え、経験も積んだブラッドリーが再逆転を伺うにつれ、奇妙な緊張感を孕むようになる。
共に危機を乗り越えた事で、距離が縮まったりはするものの、ふたりは和解する事無く、中盤以降、相手を如何に出し抜くかに終始するマウント合戦になって行くのだ……そんな後半、予想外の展開を見せはするものの、和解を阻むふたりの結末には対決しかない。
映画は意外な舞台での対決を描き、これまた意外なエピローグに辿り着くが、これはちょっと雑なまとめに思えた。
あの醜いマウント合戦の果てに辿り着いた先は、もう少し皮肉なものであってもよかったのではないだろうか?
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