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2026年01月18日08:18

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「私の想う国」感想

 これは、チリ弾圧の歴史を描いた「光のノスタルジア」、「真珠のボタン」、「夢のアンデス」の三部作で知られるドキュメンタリー映画の巨匠パトリシオ・グスマンが、2019年にチリで始まった社会運動の行方を追ったドキュメンタリー。

 2019年、チリの首都サンティアゴで起きた地下鉄料金の値上げ反対運動に始まるチリの社会運動は、象徴的リーダー不在のまま大きななうねりとなる。150万の人々が、誰に導かれるのでもなく、街頭に繰り出し警察と放水車に向かってデモを実施したのだ。やがて、この運動は、保守的・家父長的なチリの社会構造を大きく揺るがして行く事になる。
 運動の主流となったのは、若者と女性たちだった。映画は、多くの女性たちへのインタビューと、パトリシオ・グスマン監督の語りで、この運動を振り返り、語って行く……

 これは、1970年代の南米に蔓延っていた軍事独裁政権と市民への弾圧に抵抗した「チリの闘い」以降、チリ現代史を撮り続けるパトリシオ・グスマン監督が、2019年に起きた社会運動を捉えたもの。
 まず、この社会運動では、特定のイデオロギーを共有せず、リーダーを持たない若者や女性を主とした民衆が、組織化されないままで改革運動に参画を、やがて150万人もの人々が首都の中心広場を埋め尽くすデモを行った、と言う事に驚かされる。そして、それを映像で見せる、インパクトは大きい。
 映画の中で、反グローバリズムを唱え、よりよい暮らしを求める声を上げるのは、4人の詩人、母親、そして先住民、と言う多くの女性だ、彼女たちに共通するのは、家父長制など保守的な制度に固執する男たちに支配された国を変える、と言う想い――そして、その想いは2021年、36歳という世界で最も若いガブリエル・ボリッチ大統領の就任と言う形に結実し、美しく幕を下ろす……これは、そんな奇跡のような“革命”を描いた映画なのだ。

 気になるのは、2025年の世界は、チリのこの“革命”と正反対の方向に向かっている事……ナショナリズムの高まりに、保守勢力の台頭と右傾化……米・トランプ大統領に至っては南米の左派国家を敵視さえしている。そのような状況下で、チリの“革命”にグスマン監督が見出した“希望”が、幻となってしまわないかを危惧する。
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