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2025年12月21日09:30

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「Flow」感想

 これは、長編デビュー「Away」で一躍注目を集めるようになったラトビアのアニメ作家、ギンツ・ジルバロディス監督の長編2作目。

 世界が水に覆われた未来、人類の姿は何処かへ消え、建物や創作物などその痕跡も水没しようとしていた。そんな中、一匹の黒猫が津波に遭遇……辛うじて呑み込まれる事だけは避け、高台に逃れたものの水かさは更に増して来る。そこに、運よく漂うボートが近づいて来て、猫はそれに乗り込んだ。
 ボートには先客として一頭のカピパラがおり、そこに犬やキツネザル、さらにヘビクイワシと、何れも群れに馴染めぬものが乗り込んで来た。
 漂流を続けるうち、様々な出来事に見舞われ、時に危機に襲われる中、動物たちの間には、少しずつ絆が芽生え、互いに助け合うようになっていくが……

 この映画、ギンツ・ジルバロディス監督の前作「Away」同様、全編台詞なしとなる。今回の主人公は猫であり、複数種の動物が登場するのだが、互いに鳴き声は出すものの、言葉を喋らせたりはしない――勿論、そのままの動物ではないのだが、擬人化は最小限に留められているのだ。
 前作「Away」は、ギンツ・ジルバロディス監督がアニメーションから音楽までひとりで製作したのに対し、本作は少数ながらスタッフが加わって製作しており、一昔前のゲーム画像のようだった「Away」に対し、木々のざわめきや水の描写などは格段にリアリティを増している――もっとも、動物たちの毛並みや、もふもふの質感などは、ピクサーなどに代表される本格CGに比べれば見劣りするのも事実だが……
 また、孤独な黒猫が、1隻のボートに乗り合わせた動物たちと助け合って絆を深めて行くと言うのは、本作で共に映画を製作するスタッフを得た、ギンツ・ジルバロディス監督の現状が反映されているようにも思えた。

 本作の原点は、「未来少年コナン」と、ジャック・タチのパントマイムにあるらしい。確かに、水に沈む都市や、最後の展開には「未来少年コナン」の世界に通じるものがあるし、登場する動物たちの気持ちの表し方に、パントマイムの要素を感じる。

 前述したように、この映画には言葉がない。なぜ世界はこうなってしまったのか、人類はどうなったのかを語る者も語る言葉もなく、これには様々な解釈が出来るだろう。
 襲い来る災厄を逃れた先で生まれた小さなコミュニティ……ひとりでは乗り越えられない困難も協力すれば乗り越えられるし、それがひとつの生存への答えだ。だが、それは誰もにとって同じではないし、協力だけでは克服できない問題もまた存在する……そんな当たり前と言えば当たり前の事を、本作は動物たちに託して描いているように思える。そして、本作は、それをひとつの言葉もなく描き切った。これは正しくポスト人類の黙示録でもあるのだろう。
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