これは、「鉄コン筋クリート」や「海獣の子供」などを手掛けたSTUDIO4℃が7年をかけて制作した、「人魚姫」をモチーフに描くオリジナルアニメーション。
監督は、数々のアニメで作画監督を務めて来た青木康浩。声の出演は、鈴鹿央士に山田杏奈。
人間と人魚が共存する未来社会。上海で、造船会社のエンジニアとして働くステファンは、ある日突然、人魚王国のお姫さま・チャオに求婚される。
人魚王国とのコネが出来れば造船会社としては大きなメリットがある、と見た社長に後押しされ、ステファンは訳も分からないまま、チャオと結婚することになってしまう。
「何で魚と結婚しなきゃいけないんだ」と零していたステファンだが、会社でも責任ある地位に着き、望む仕事も出来るようになって、ステファンも少しずつチャオとの暮らしを受け入れて行くが……
このアニメだが、大変に手の込んだものであるのは判る。CG全盛の現在で、手書きアニメにこだわり、総作画枚数10万枚以上。濃密に描き込まれた、未来の上海の風景も、ポップかつ猥雑で魅力的だ。
キャラクターもかなり癖のあるもので、最初は松本大洋か?と思ったのだが、これはどうやらオリジナルであるらしい。主人公ら、スリムで等身の大きいキャラクターと、まるでハンプティ・ダンプティのような卵型の社長に、2等身でやたらの顔のデカい人物と、デフォルメも極端な上に、統一感がないし、キャラクター造形もまたこれまでにない個性的なものとなっており、これはかなり観客を選びそうな気がする。
それ以上に問題なのが脚本で、基本は、人間の男性のもとに、人ではない花嫁が押しかけてくるという異類婚姻譚。この設定も古典的なのだが、花嫁が押しかけてくる理由は、かつて男が彼女を助けたからなのだが、男はそのことを忘れている、と言うのもよくある話――アニメだと、「うる星やつら オンリー・ユー」がこれだろう。
勿論、古典的で定番なのは悪くないが、問題なのはどうにも男女関係が古臭いのに加え、展開や描写が突飛と言うか繋がりが悪いと言うか、どうにも話が呑み込めないし、納得が行かないのだ。しかも、過剰なまでに盛り込まれた本筋ではないエピソードのせいで、物語自体が迷走している印象も与える。
作り込まれた絵には力量を感じるだけに、物語の古臭さと語り口の拙さが惜しい、と言うか残念だった。
PS
鑑賞した回は、他に観客なしの1人だった……ネットの映画評でも「駄作」、「大コケ」と酷評されているだけに仕方ないのか……
7年もかけて作り上げたのに、結果がコレと言うのはいささか気の毒に思えた。
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