mixiユーザー(id:124952)

2025年07月23日22:25

57 view

「三谷幸喜『おい、太宰』劇場版」感想

 これは、三谷幸喜がオリジナル脚本と監督を務める“完全ワンシーンワンカット”シリーズの新作第3弾。WOWWOW放送のドラマ「おい、太宰」の劇場版にして、放送版とは異なる「もうひとつのエンディング」を特別映像として追加しての劇場上映となった。
 出演は主演に田中圭、共演に松山ケンイチ、小池栄子、宮澤エマ、梶原善と芸達者な面々が揃った。

 小室健作は妻の美代子と出席した結婚披露宴の帰りに道に迷い、かつて太宰治が最初の心中未遂を起こした海辺に出てしまう。
 実は太宰の大ファンである健介は、太宰ゆかりの地に大興奮。あちこ海岸を歩き回るうち、海辺の暗い洞窟を進んだ先で、なんと、太宰治と恋人のトミ子に出くわしてしまう!――どうやら、洞窟がタイムトンネルとなり、現在と昭和5年を繋いでしまっているようなのだ。
 しかも、以前からトミ子の美しさを語っていた健作は、実際に逢ったトミ子に一目惚れ。しかも、史実では心中未遂で、死亡するのはトミ子だけ。それを知る健作はトミ子を助けたい一心であれこれ働きかけるのだが……

 この映画、(疑似ではあるけど)ワンシチュエイション、ワンカットのノンストップコメディと言うのは意欲的であり、しかも、仕込みのし難い屋外ロケで、タイムスリップものSFなのだ。よくやっている、と感心はするし、芸達者が揃うだけに確かに面白い所はあるのだが、どうにもノり切れなかった、と言うのが正直な所――前作の「スオミの話をしよう」もそうだったのだが、展開に説得力がなくて強引、物語にも粗が目立ち、芸達者な俳優が繰り広げるギャグを繋げているだけのように思えてしまった。
 日本版シットコムを目指した「スオミの話をしよう」、タイムスリップSFを屋外ロケでワンカット撮影の本作、と企画と取り組みは意欲的であるだけに、物語の作り込みや脚本の練り上げが明らかに不足しているのは勿体ない、と思うのだが……

 主役の健介を演じるのは田中圭。妻帯者なのに関わらず、太宰の愛人の若いトミ子(史実では18歳)に出会い、一目惚れして妻子を放り出して駆け落ちしよう、と持ち掛けて……しかも、それが妻にバレた後に、悪びれもせず謝罪もしない、と言うのは……余りに現実にシンクロしてしまっていて苦笑いしか出て来ない――これならいっそ、その浮気相手を永野芽衣にすりゃよかったのに、と言うのはさすがに洒落にならないか。
 また、主役かつ語り手でもあるので、台詞が多いのは仕方ないのだが、それが時に不自然なオーバーアクトになるのも気になるし、どうにもキャラが弱いのも問題だと思う――その一方で、津軽弁ネイティブなのを活かして、津軽弁丸出しの太宰治を作り上げた松山ケンイチや、愛人・トミ子役の小池栄子――18歳と言いつつ実は39歳、視野狭窄がギャグのレベルの妻・美代子を演じた宮澤エマ、と何れもキャラを立たせているだけに、余計に気になってしまった。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2025年07月>
日 月 火 水 木 金 土
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

過去の日記

2026年
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年