これは、カンヌ国際映画祭脚本賞受賞、ゴールデングローブ賞にてデミ・ムーアが主演女優賞、アカデミー賞では主要賞こそ逃したものの、各映画祭で注目され、話題となっているホラー・エンターテインメント。
主演は、本作でプロデュサーも務めるデミ・ムーア。共演に、マーガレット・クアリーとデニス・クエイド。監督・脚本は「REVENGE リベンジ」のコラリー・ファルジャ。
ハリウッドの人気女優エリザベスだが、年齢を重ねるにつれ仕事が減少、50歳の誕生日を迎えた後、長年人気だった番組からの降板を告げられてしまう。
思い詰めたエリザベスは、怪しげな再生医療“サブスタンス”に手を出す。
治療薬の“アクティベーター”の注射により、エリザベスは再生した若い肉体、“スー”を得る。一つの自我をシェアするふたつの肉体には“一週間ごとに入れ替わらなければならない”という絶対的なルールがあった。
だが、若さと美貌を武器にたちまちスターダムを駆け上がったスーは、次第にそのルールを破り始め……
この映画だが、アカデミー賞で、デミ・ムーアが遂に念願のオスカーを手にするか、が話題となっていた。結果としては逃してしまったのだが、本作を観ると、これはデミ・ムーアでよかったんじゃないか、と思ってしまう、
もっとも、映画内で、デニス・クエイド演じるハーヴェイに代表されるハリウッドの”オールド・ギャング”を悪しき様に描いたのが反発を買ったのだろうか?
(「ハリウッドの自己批判」と言う見当外れの声もあるが、本作はイギリス映画なので……)
実際、映画内で50歳のエリザベスを演じるデミ・ムーアは、1962年生まれだから既に60過ぎ……それで、あの美貌とスタイルを維持してるだけでも大したもの、ではあるのだが、ただ、同世代のトム・クルーズが未だ第一線で活躍、往時と変わらずラブロマンスまで演じているのに……と言う忸怩たる思いが、これを作らせたのか……
また、スーを演じるマーガレット・クアリーは、デミ・ムーアとも親交のあるアンディ・マグダウェルの娘で、デミ・ムーアの娘とも友人関係にあるとか。そんな彼女を、男たち、いや社会が望む女性の「若さ」と「美貌」の象徴としての“もの”の役割を担させているのも凄い、と言うか、それも、こうした関係性があっての故だろうか?
映画は、ハリウッドだけではない、女性に若さと美しさ「だけ」を求める、現代社会の「ルッキズム」や「エイジズム」批判、と見せながらも、そんな社会で生きて行かざるを得ない女性の苦悩に焦点を当てている辺りが、評価されたポイントなのではないだろうか?
また、同じ自我を持ちながら、それが入る肉体によって、人間性を変化させて行く、と言う辺りの着眼点もなかなか、と思う。
そんな映画は、前半から中盤までは見事な出来、と言える。
ただ、終盤の展開は賛否両論で、自分は、あれはさすがにやり過ぎ、と思うし、尚且つ、展開に無理があり過ぎで、ちょっと引いてしまった、と言うのが正直な所だ。
ここは、スーに“ターミネーター”を注射して終わりにしようとしたエリザベスが、途中で心変わりして一か八かで“アクティベーター”をスーに注射して生き返らせるんだけど、その副作用がステージ上で出てしまい、ステージの上でスーの背中からモンスターが出て来るとかにした方がよかったのになぁ……と思ってしまった。
まぁ、そんなことを思わせるだけ、面白かったのは事実だし、これは見応えのある映画だと思う。
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