これは、「桜田門外の変」や「男たちの大和」の佐藤純彌監督が、1975年に高倉健主演で製作した鉄道スペクタクル巨編。
力の入った大作映画だが、任侠ものなどジャンルムービーを得意としていた東映のカラーに合わず、公開当時の興行成績は散々なものだったと言う。
ただし、内容的には日本映画史屈指と呼ばれるほどで、海外でも「スピード」など本作の影響を受けた作品も数多ある名作だ。
2025年5月、続編とも言える新作の「新幹線大爆破」のリリースに合わせ、2週間限定で劇場公開された。
東京発博多行の東海道・山陽新幹線「ひかり109号」に爆弾を仕掛けた、との脅迫電話が入る。爆弾は、列車が80km/hを超えると起動、再び80km/h以下にすると爆発する、と言う。
北海道で、同種の爆弾を仕掛けられた貨物列車が爆発し、国鉄本社公安本部は電話を真実だと判断、「ひかり109号」に事態を伝え、「列車を絶対に止めるな」と指示をする――この爆破計画は、不況で倒産した精密機械工場の元経営者・沖田哲男と、元過激派の闘士・古賀勝によるものであった。そして沖田は500万ドルを国鉄本社に要求し……
この映画だが、国鉄(当時)の協力が得られず、実車走行映像と、予算の実に1/3を費やした車内セットとミニチュア新幹線で撮影をした、と言う。
特撮技術としては勿論、現在のそれに及ばないものだが、それでも巨額の予算を投じただけに、なかなかの迫力を見せる見事な仕上がりになっている。
物語の方も、終点の博多に着いたら止まらなければならない、と言うタイムサスペンスに加え、閉じ込められた車内で起きるパニックに、故障車両の回避など、次々に見せ場を作ってサスペンスと緊張感を維持し続けるのも巧み。
そして、中盤以降は、警察の捜査・追及をかわしつつ、如何に身代金を手にして逃走するか、と言うサスペンスをも追加し、こちらはクライムサスペンスを得意とする東映だけに、手慣れた描写は正に職人芸。
犯行グループのリーダー・沖田を演じる高倉健に、運転士が千葉真一、運行管理官が宇津井健と、いい顔の役者が揃っているのも本作の美点だろう。
寡黙ながらも頼れる存在感の高倉健、汗まみれで、正に油ギッシュな千葉真一、そして、沈着冷静で公明正大、高倉健の向こうを張る宇津井健……こんな顔の役者たちは現在ではもう見られないものだろう。
映画は後半、犯行グループのバックグラウンドを描く辺りでいささか感傷過多となり、テンポを削ぐ傾向があったのは残念だが、一件落着と見せての急展開に、そこからのリカバリー、最後は沖田が逃げおおせるか、とサスペンスを最後まで盛り上げて行くのはさすが。
日本映画史に残る傑作、と言うのにも納得だ。
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