水曜、会社帰りにTOHOシネマズららぽーと横浜で、
「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」
を鑑賞。
これは、TVアニメシリーズ「超時空要塞マクロス」を、劇場版としてリメイクした長編SFアニメ。
脚本は富田祐弘、監督はTV版「鉄腕アトム」等を手掛けたベテラン石黒昇と、新人・河森正治が務めた。
本作は1984年に公開され、40周年記念として発売される「4K ULTRA HD版」に合わせ、この度、劇場公開されることになった。
2009年、地球に墜落した異星人の宇宙船を元に建造された巨大宇宙戦艦「マクロス」の進宙式の場を、突如異星人の艦隊が襲う。迎撃の為に起動したマクロスは、不慣れなフォールドドライブのトラブルで太陽系外縁に飛ばされてしまった。
マクロス艦内には居住区や商業地区もあり、そこに避難民5万8千人を抱えたまま、地球への帰還を急ぐマクロスの前に敵艦が現れる。
マクロスに搭載された可変戦闘機VF−1「バルキリー」のパイロット一条輝少尉は、敵を迎撃に出動、艦内に侵入した敵機と交戦して、マクロスの人気アイドル、リン・ミンメイを救助するが……
「超時空要塞マクロス」と言えば、「宇宙の戦士」の挿絵などでSFファンに高く評価されていたスタジオぬえが手掛けたアニメで、精緻なディティールのメカアクション、そして、あの庵野秀明の出世作と、正に一世風靡したエポックメイキングなアニメであり、その劇場版である本作は、当時、まさに衝撃的な作品だった。
(尚、本作公開の1984年は、他にも「風の谷のナウシカ」、「うる星やつら ビューティフル・ドリーマー」と話題のアニメが次々に出た年だった)
その劇場版「マクロス」……41年ぶりにスクリーンで観たのだが、これは思ったよりも厳しい……同年公開の「ナウシカ」のようにシンプルな描線ではなく、精緻なディティールが見所の本作だが、それ故に手書きの限界と、アニメ技術の拙さを露呈してしまっている――しかも、4K映像は、その手書き故のブレや、ゆがみまで映し出してしまうのだ。
あと、「男と女が戦争してる」と言う設定の本作は元々ジェンダー問題的に危うい要素があり、それは当時から指摘されていたのだが……あらためて、今の目線で見ると、これはもう現代では許される内容じゃない。
「女は女らしくしろ」や「男が間違っていても、女はそれを立てなきゃならん」辺りの発言はセクハラで一発アウトものだ。
また、「女なんてのは力づくでもモノにしてしまえ」と来ては、これは、事実上の犯罪教唆で、その「力づく」をやったらどうなるか……これは最早地上波放送はありえない……
ただ、本作は、私たち50過ぎの所謂“バブル世代”を直撃するもの……正に、その時代に若者として生きていた世代に照準を合わせて作られていたように思う。
それは、逆に言えば、時代的普遍性を欠く、と言う事でもある。つまり、より上の世代が生み出した「ガンダム」やジブリ作品と異なり、あの「時代(=1980年代のバブル期)」の空気を濃密にまとっているのだ
当時、上の世代が酷評していたのが、本作における「戦争」のリアリズムの欠如――日常生活が制限され、食糧とかも配給制になるんじゃないのか?と言う指摘は、本作を支持する世代には届かない……なにしろ、経験したことがないのだから。
また、恋愛観・女性観も当時の“オタク男性”のそれで、女性との出会いが「アイドル」と「職場のセンパイ」の二択しかない、と言う事に共感出来てしまう辺りには我ながら呆れてしまうし、フォッカー少佐の言動がステレオタイプのマッチョ思想なのも、あれはオタクからは「リヤ充」はああ見えている、と言うのが反映されていてなんとも……
書き連ねればキリがないのだが、そんな内容故に「時代を超えた名作」にはなり得ない映画だが、それが現在劇場で観られる、と言う事には感謝しかない。これは、貴重な機会だった。
PS
映画のラストシーン……歌い終えて、次の曲に備え、リズムをとるミンメイ……それがフェイドアウトして、画面暗転。そこで、「Hey,One,two!」の声に続き、「天使の絵の具」が流れるエンドロール……と思ったら、そこで画面明るくなってリン・ミンメイのオンステージ映像付きの「天使の絵の具」が!
これは――(どうやらかつてシリーズOVAに特典として製作されたものらしいが)公開時にファンが望んだエンドロールそのものじゃないか……これこそ、ファンが望んだ「完全版」。
まさか、41年経って完全版の「劇場版マクロス」を観る事が出来るとは、正に感無量。
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