これは、ベストセラーとなった浅倉秋成の同題小説を浜辺美波主演で映画化したもの。監督は、「キサラギ」の佐藤祐市。
「もし徳川家康が総理大臣になったら」でも浜辺美波と共演した赤楚衛二の他、「TOKYO MER」の佐野勇斗、「映像研には手を出すな!」の山下美月、「こいびとのみつけかた」の倉悠貴、「映画 マイホームヒーロー」の西垣匠らが出演している。
総合エンタテインメント企業スピラリンクスの新卒採用で最終選考に進んだ6人の就活生。最終選考の課題は6人でチームを作り上げ、与えられたテーマに対する答えを出すこと。
彼らは全員揃っての内定獲得を目指し、万全の準備で最終選考の日を迎えたが、選考当日、急に課題が変更される。採用されるのは1人だけであり、その1人を6人で決めるよう指示された。チームの仲間から1つの席を奪い合うライバルになった6人だが……
6人の就活生を演じた中では、やはり浜辺美波が群を抜く。感情の動きの表現が繊細で、目を剝いたり、不意に大声を張り上げたりするなど、パターン化し、時に不自然さを見せる他の出演者との差異を見せるのだ――まぁ、これは役柄のせいかも知れないが……
これは、殺人も犯罪も起きない異色のミステリーで、どちらかと言うと密室での限られたメンバーによる心理戦で、これは佐藤監督の傑作「キサラギ」に通じるものがある。
映画前半、最終選考において、ある事件が起きて状況が一変する辺りからのサスペンスには引き込まれた。ただ、惜しいのは、後半、風呂敷を畳みにかかってからの展開で、時間軸を8年先にすっ飛ばす展開や、ネタ明かしを延々モノローグで語ってしまう、見せ方の工夫のなさはどうにかならなかったのかな、と思う。そして、妙に“いい話”にしようとする辺りにはいささかうんざりさせられた。
この映画、閉ざされた環境の中での人間関係の構築と崩壊を描こうとしているのは判るのだが。全編を通して、ゲーム的と言うか、登場人物が物分かりが良過ぎると共に、リアリティを欠く設定や演出が目立つ――やはり、心理劇、そして人間ドラマを描こうとするならば、その前提となる舞台をしっかり築いておかないといけないのではないだろうか。
また、肝心のスピラリンクスと言う会社が何をやっているのかがよく判らないし、6人の就活生の入社動機……これがひとりを除いてはっきりしないのも気になる所だ。
あと、主役である浜辺美波演じる嶌衣織ひとりだけが、裏の顔を暴かれず、変わらぬ外面を貫いて、事態を采配して行く、と言う展開にも疑問を覚えた。
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