これは、「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督が韓国のテレビドラマ「元カレは天才詐欺師〜38師機動隊〜」をリメイクしたコンゲーム映画。
出演は、「八犬伝」の内野聖陽、「ラストマイル」の岡田将生、「犯人に告ぐ」の小澤征悦。
うだつの上がらない税務署職員の熊沢二郎は、管轄内で巨額脱税の疑いのある不動産業者の橘を迂闊に追及した部下を庇い、屈辱的な謝罪をする羽目になる。
そんな熊沢は、自家用車の買い替えで詐欺に遭い、金を騙し取られてしまう。親友の刑事の協力を得て、詐欺を働いた天才と謳われる詐欺師・氷室に迫るが、逆に氷室から「橘をハメて大金を騙し取る。あんたはそこから税金を徴収すればいい」と持ちかけられる。
犯罪の片棒は担げないと葛藤する熊沢だったが、彼には橘との因縁があり、それに決着をつける為にも氷室と手を組むことを決意。
氷室は仲間を集め、橘をハメる為の罠を仕掛けるが……
「カメラを止めるな!」で大ヒットしたものの、上田慎一郎監督には“低予算のインディーズ映画が得意”と言うレッテルが貼られてしまったようで、これまでメジャー作品には縁がなかった。だが、本作は、漸く人気の俳優を揃えた拡大公開されるメジャー作品となった。
製作には時間をかけ、主演の内野聖陽は、脚本段階から本作に関わっていると言い、これは上田慎一郎監督にとってもいい経験になったのではないだろうか?
本作が描くのは地面師詐欺。気になるのは、丁度、Netflixで「地面師たち」と言う、同様に地面師詐欺を扱ったドラマが大ヒットした後の公開となった事で、これは果たしてどうなのか……
映画は、地面師詐欺の仕掛けを、冒頭で自動車売買を材料に見せているのは親切な作りと言えるだろう。
犯罪映画は、その犯罪を成功させてしまうとモラル的にどうか、と言う部分があるのだが、本作では、悪質脱税者がターゲットで、騙し取った金も、大半が税として納付される事になる、と言う事でバランスを取り、ちゃんと痛快さを味わえるようになっているのも定番通りだ。
物語は、典型的なコンゲームではあるのだが、二転、三転する攻防戦を見せる事無く、予定調和とも言える物語構成をした上で、終盤、「カメラを止めるな!」と同様の“視点を変えたら”と言う要素を盛り込み、見事な逆転劇を見せる。これは、いかにも上田監督らしい見せ方で、原作ありのメジャー作、出演する有名俳優の見せ場も作らなければならない状況で、ちゃんと自分の得意な内容で勝負するのだから、これは大したものと思う。
原作ではマ・ドンソクが演じた元刑事の強面税務署員を、敢えて弱腰に演じた内野聖陽もいいし、悪役を活き活きと演じる小澤征悦もいいが、やはり、性格の悪い“裏に何かある”人物を演じさせたら岡田将生はやはりピカいちだ。韓流スターにも決して引けを取らない貴公子ぶりと、悪びれずに悪事を行う辺りは正に真骨頂。
物語中盤、詐欺の仕込みのシーンがいささかもたつくのと、熊沢と氷室と言う凸凹コンビのバディ感や、氷室のバックグラウンドがもう少しあれば、とか注文をつけたくなる部分もあるにはあるが、なかなか面白い映画だったと思う。
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