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2024年11月05日20:45

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「スオミの話をしよう」感想

 これは、劇作家の三谷幸喜が「記憶にございません!」以来5年ぶりに脚本・監督を務め、長澤まさみを主演に迎えて描くミステリー・コメディ。
 共演は「ドライブ・マイ・カー」の西島秀俊、「流浪の月」の松坂桃李、「首」の遠藤憲一、「記憶にございません!」の小林隆、「審判」の坂東彌十郎。

 著名な詩人・寒川しずおの妻・スオミが昨日から行方不明となったと。スオミの前の夫で刑事の草野圭吾に寒川の秘書から相談があった。寒川の邸宅を訪れた草野は、警察に届けを出して捜査するよう進言するが、事を大きくしたくない寒川は聞き入れない。
 そこへ脅迫状が届き、スオミは失踪ではなく誘拐されたのでは?との懸念が高まる。やがて、寒川の邸宅には、スオミの最初の夫で、今は寒川の家で家政夫を務める魚山大吉、三番目の夫で、草野の上司の宇賀神守、二番目の夫の十勝左衛門が次々と集まってくる。
 男たちは、スオミとの思い出を語りながら、スオミ救出の策を巡らすのだが、彼らの語る思い出の中のスオミは、それぞれまるで別人のようだった……

 この映画の主役は、スオミを演じる長澤まさみだが、映画の終盤まで彼女は回想シーンにのみ登場し、姿を見せない。スオミについて、男たちがそれぞれの思い出話をするのだが、その内容がチグハグで噛み合わないと言うのがこの物語の核心となるアイデアだ。
 そんな、男たちにとってそれぞれ別人としか思えないスオミの謎を男たちが思い出を組み合わせて行く事で解き明かして行けば謎解きミステリーとしては面白くなったのだろうが、本作は、そこに“誘拐”と言うもう一つの謎を重ねたのが失敗していると思う。
 これにより、謎解きが発散する感があるし、中盤の山場である身代金引き渡しなど、殆どドタバタコメディとなってしまっているからだ。
 そして、物語は終盤になって呆気なくスオミが登場し、ネタ明かしをして、なし崩しの大団円を迎える……ミステリーとしては肩透かしを食わされたようなものだし、「誰かに依存し、その人に合わせて生きる」、スオミと言う女性のある意味での悲劇に向き合わず、ダメ男の生き様をなぞるだけの物語も古臭く感じる。
 また、コメディとしても際立つものがなく、映画の作りは明らかに安易で粗が目立つ――実際、観客の評も芳しくないようだが、それも当然と思う出来。確かに、長澤まさみの七変化は観ていて楽しいし、芸達者なキャストを揃えたおかげで、気楽に観るコメディとしては成り立っているとは思うが、決してそれ以上のものではないだろう。
 
 映画としては、特異な作りで、これを舞台劇風、と言う人もいるだろうが、三谷幸喜監督の狙いとしては往年の人気TVドラマ「奥さまは魔女」のような“シット・コム(シチュエイション・コメディ)”をやりたかったのだろう――それならば、ウケ狙いの場面で笑い声や拍手を入れるなどすればいいのに、
そこまではしない、など全て半端な感じで、これでは“シット(糞)・コム”ではないか、と言う悪評にも頷ける感じだ。
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