これは、辻村深月の同題のベストセラー小説を、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔と「先生の白い嘘」の奈緒の主演で映画化した恋愛サスペンス。
青年実業家の西澤架は恋人に振られて、婚活を始める。そこで控えめでおっとりとした坂庭真実と出会って交際するが、1年を経ても、まだ結婚に踏み切れずにいた。
そんなある日、架は真実からストーカーの存在を告白され、怯える彼女を守る、と言う名目で同居を開始、世間体もあって漸く婚約するのだった。
そして、結婚の準備を進め、真実が寿退社をした翌日、彼女は突然架の前から姿を消してしまい……
これは、結婚に臨む男女の駆け引きを描いた物語。
ストーカー騒動とか、突然の失踪とか、揺さぶりはかけて来るけれど、結果としては、架と真実と言うふたりの間……と言うか、その表裏が織り成す心理サスペンス、となっている。その中に、現代人ならではの傷つきやすい自己や高望みしがちな価値観、さらに過度な世間体への配慮――これは、同時に己の過剰な装飾にも繋がる――を盛り込んだ、豊かなドラマを描こうとしている……のは判るのだが、これはやや不発気味。原作はこの辺りが充実しているようなのだが、映画では、どうにも中途半端に終わった感じ。
また、結婚を前に、傷つき逃げ出した真実が農村での自然と素朴な人々との触れ合いで癒され、逞しく成長する、と言う展開もいささか陳腐に感じた。
架を演じる藤ヶ谷太輔は、これまでも“巻き込まれ型”の主人公を演じる事が多かったのだが、本作でも振り回される主人公を好演。その一方で、真実を演じる奈緒は、これは期待通りの底が見えないキャラクターで、正に映画を一身に支える感じだ。
そんな映画だが、観終わってみれば、これは意外にも真っ当なメロドラマで、結婚を前に、男性側が翻弄されるのが現代っぽくあるくらいで、ちゃんと恋愛ドラマとして決着したのがむしろ物足りなく思えるほど――まぁ、感動はしたけどね。
ログインしてコメントを確認・投稿する