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2024年07月24日00:01

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「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」感想

 これは、アポロ計画による人類初の月面着陸に、現在に至っても繰り返し囁かれる月着陸捏造説を盛り込んだ、異色の物語。
 監督は、「Love, サイモン 17歳の告白」などを手がけたグレッグ・バーランティ。主演のスカーレット・ヨハンソンは本作のプロデューサーも務めている。共演は、チャニング・テイタム、ウディ・ハレルソン。

 ケネディ大統領の宣言で人類初の月面着陸を目指す「アポロ計画」がスタートしてから8年後の1969年。
 失敗続きのNASAによるアポロ計画は遅れに遅れ、ソ連との宇宙開発競争で後れを取る一方、ベトナム戦争の苦戦もあって、国民の月への関心は薄れていた。
 そこでアポロ計画を全世界にアピールするため、大統領側近のモーは、広報宣伝のプロ、ケリーを雇う。宣伝の為なら手段を選ばないケリーに、実直で真面目な元軍人のNASAの発射責任者・コールは反発するものの、やがてアポロ計画は、全世界注目の話題となり、盛り上がっていく。
 そんな中、モーは計画失敗に備え、ケリーに月面着陸のフェイク映像を撮影するという超極秘プロジェクトの遂行を厳命。極秘で撮影準備を進めるケリーだったが、仲間の月面着陸成功を信じるコールは猛反対。だが、実はケリーも月面着陸の実現を願い、その事実を世界にアピールしたいと思っていて……

 本作については公開前から期待一杯……なにしろ、ロケットが飛ぶだけで気分がアガるのに、物語としてもヒネリが効いていて面白そう……キャストも魅力的だし、これは面白くならない訳がない、と――
 
 そんな映画は、アポロ計画のクライマックス、アポロ11号による人類初の月面着陸ミッションを中心に、「アポロの月着陸はなかった」と言う未だ根強い都市伝説を逆手にとって、実はリアルとフェイクの計画が平行で進められていた、と言う展開とし、人々が見たのははたしてどっち?と言うサスペンスにしている。
 偽の月面着陸を工作するのは、勿論、米国の国威を気に掛ける政府高官なのだけど、その実行者に、正体不明の女性宣伝担当を配置する、と言うのがいい。まだまだ女性の地位の低い1960年代だからこそ、詐欺師まがいのちょっと“怪しい”ケリーと言うキャラクターとしたのが最後まで効いて来る――このケリー、正体不明で、美貌とお色気で男たちを手玉に取る……まるで、峰不二子のようなキャラクターで、これをスカーレット・ヨハンソンが魅力的に、そして実に楽しそうに演じている。
 また、そんなケリーと、対照的な堅物男をチャニング・テイタムが演じているのもよく、この2人の掛け合いは、まるで往年のハリウッド映画のよう。

 しっかり予算をかけて当時の様子を再現したセットと、高度なCGを組み合わせたVFXの完成度は高く、アポロ11号のミッションを再現した映像も、文句のつけようがなく、特に発射シークェンス……史上最強ロケット・サターンVがその力を解き放つリフト・オフのシーンなど、それだけで涙が出る。
 そこに、フェイク映像の撮影を、正に“映画の撮影”として描き、どちらが放送されるのか、と言うサスペンスを平行させ、リアルと虚構の対立に、現在社会が直面するメディアと報道の問題についても問いかける……更に、ケリーとコールのロマンスまでも入れ込む、と言うゴージャス極まる内容――そんな感じで、この映画、まったく隙がない。

 グレッグ・バーランティ監督は、これまであまり注目していなかったけれど、その経歴を見れば、これはなかなかの曲者と知れる。その実力も見せて貰った以上、これは次回作にも期待したくなる、そんな1本だ。
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