仕事の後、イオンシネマ港北NTで、
「毒娘」。
これは、「ミスミソウ」の内藤瑛亮監督が、匿名掲示板サイトで話題になった、ある家族に起きた「馬乗りKちゃん」事件をモチーフにして描くホラー。
東京近郊の住宅地に引っ越して来た、萩乃と夫の篤紘、娘の萌花の3人家族。篤紘の再婚相手である萩乃は、萌花とは血の繋がりがないけれど、母親と認めて欲しい、と願っていた。
そんなある日、外出中の萩乃に萌花から、悲痛な声で助けを求める電話がかかって来る。慌てて帰宅した萩乃が見たものは、荒れ果てた居間と、萌花に馬乗りになって大きな鋏を突き付けている見知らぬ少女の姿だった。その少女はかつてこの家に暮らしていたちーちゃんと言い、傷害事件を起こした後、姿をくらましていた、と言うのだが……
この映画、“毒娘”であるちーちゃんが怪物として幸せな家族を壊して行く話か、と思いきや、その「幸せな家族」と言うのが、穏やかなモラハラ男の篤紘が作り上げた牢獄である、と言うのが見えて来る、二重構造のホラー。
ちーちゃんを触媒として、血の繋がっていない母娘と言う、違う形で男に拘束され抑圧されてた女2人が、そこから抜け出して自由を得て行く様はむしろ爽快さを覚えてしまう程だった。
萩乃を演じたのは佐津川愛美で、彼女が夫と娘の顔色を伺うように終始おどおしている萩乃を演じているのだから、これはもう、何処でブチ切れて啖呵を切るのか、観ている側としては待ちかねているような状態でもあった。
惜しいのは、そうした女性や子供に対する理不尽な抑圧に対抗する、自由さの象徴でもあるちーちゃんが、プロローグとエピローグでは別の行動原理を見せてしまっている事……この辺りを巧く整理出来ていれば、ちーちゃんを、強者が弱者を搾取する構造が変えられない現代日本の現状に突き付ける刃のような存在に出来たように思うのだが……
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