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2024年01月31日06:02

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「哀れなるものたち」感想

 これは、「ロブスター」、「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督がエマ・ストーンを主演に迎え、アラスター・グレイによる同題小説を映画化したもの。
 エマ・ストーンは、本作の製作も務めている。共演は、ウィレム・デフォー、マーク・ラファロ。

 天才外科医ゴッドウィン・バクスターは、自殺した若い妊婦に、胎児の脳を移植、新生児として復活させる。蘇った彼女に、ゴッドウィンはベラと名付け、助手のマックスに、その成長を観察させるのだった。
 やがて、マックスは美しいベラに恋心を抱くようになり、それを知ったゴッドウィンはマックスをベラをさせようと画策するが、一方、ベラは世界を自分の目で見たいという欲に突き動かされ、放蕩者の弁護士、ダンカンの誘いに乗って旅に出るのだった。旅の中で、ベラは貪欲に世界を吸収。やがて、”自由”を知る事となり……

 この映画、原作小説を映画化するに辺り、盛り込まれたのは、「フランケンシュタイン」の物語……舞台は、19世紀風(決してリアルな19世紀ではない)で、ゴシック小説的な世界観を持つ事になり、ベラはマッドサイエンティストの手により、電撃で蘇る事となった。ただ、フランケンシュタインの怪物は、その醜さ故に忌み嫌われたが、ゴッドウィンの生み出したベラは、その美しさ故に愛される事になるのだが。
 物語は、そうして白紙となったベラの精神に刷り込まれる”世界“が”人間”と言うものを如何に形作って行くのかを描くもの。主人公・ベラが女性であるが故に、これを女性の自立を描く、フェミニズムに基づく物語と見る人もいるとは思うが、この映画が描くのは、もっと根源的な、人が人である為の”自由”ではないか、と思う――ベラに係わる男たちは、最初は愛情で、次に快楽で、そして暴力で彼女を支配しようとするのだが、その何れからも解き放たれる、いや、そもそも縛られていない、と言う展開は、痛快と言えばそうだろう。
 それを、ラモンティス監督ならではの冷たく、乾いた色彩、魚眼レンズの使用など、トリッキーな撮影、独創性溢れる世界を作り上げる美術と印象的な音楽で彩る動く絵巻物……これは、極上の映像体験と言っていいだろう。

 そんな映画の、正に中心となる存在のベラを演じたエマ・ストーンは、”大人の身体の幼児”と言う難題をこなし、それが奔放なまでに自由で知的な女性に変化して行くのを見事に演じている。途中、しつこいくらいに描かれる激しい性交シーンも含め、正に”身体を張った”力演。これは彼女に2度目のオスカーをもたらす事になるのではないだろうか。
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