mixiユーザー(id:124952)

2024年01月17日00:00

43 view

「ラ・メゾン 小説家と娼婦」感想

 これは、ベルリンで娼婦として活動したフランスの作家エマ・ベッケルの自伝小説を映画化したもの。
 出演は「パリのどこかで、あなたと」のアナ・ジラルド。監督は「ワンダー・ボーイ」のアニッサ・ボンヌフォン。

 ベルリンに住む27才の小説家エマ。次作に悩むエマは、好奇心と野心から娼婦の実情を理解するため、身分を伏せて娼婦として働くようになる。周囲からの非難や反発を受けつつ、取材のつもりで2週間に限り働くつもりだったが、その生活にのめり込み、いつしか、高級娼館「ラ・メゾン」で働くようになる。そこは、決して大っぴらには出来ず、危険と隣り合わせの仕事ながら、様々な悩みを抱えて働く女性たちの世界だった――

 娼婦と言う存在を、男の目線でファンタジックに、または殺伐と描く作品は多いが、これは徹底的に女性の、しかも当事者として語る、と言うかなり挑戦的なもの。映画となった本作は、主人公・エマが、何を求め、何を語る為にそこにいるのかが曖昧となっているせいか、物語として腰が坐っていないような印象を受ける。
 エマ役のアナ・ジラルドは、正に身体を張って、娼婦として生きる女性を力演している。涼しげな顔立ちだけに、性交の最中も、どこか冷めているような感じでいるのが、取材として娼婦をやっている、と言う役柄にもあってはいるが、現在35歳と、役年齢よりやや年上のせいもあって、身体の線も崩れているし、ロリコンの客が指名して、十代の少女のふりをさせる、と言うシーンはさすがに苦しい。

 映画は、「ラ・メゾン」の裏側を、女性たちが生き生きと過ごす楽園のように描くが、それとて、理不尽な暴力に直面すれば崩れ去る砂上の楼閣に過ぎないのだ。
 結局、”売春”と言うものが内包する、男性による性搾取と言う問題――それも、極端に非対称的な――については放り出したままで、客観性についても十分とは言えないだろう。
 最後に、エマの取材に欠落していたのが、男性としての視点――娼館を訪れる男性が抱く幻想にも似た理想像――と言うのには、確かに頷ける部分もあるものの、それも、付け足しのように感じてしまった。

 現代のベルリンの娼館と、その裏側を見る、と言う知識欲を満たす部分は価値あるものと思うが、それ以上のものを語る事が出来ていないのが惜しい映画だ。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2024年01月>
日 月 火 水 木 金 土
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   

過去の日記

2026年
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年