これは、真保裕一の同題小説を映画化したポリティカルサスペンス。
政権与党で、副総理を務める宇田清治郎の孫娘が誘拐された。犯人からの要求は、身代金ではなく、“明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ”という清治郎への脅迫だった――副総理として、総理に代わり“汚れ仕事”を引き受けて来た宇田清治郎にとって、それは決して明かすことが許されない、”罪”だったが……
これは、孫を誘拐された国会議員を巡るサスペンスだが、主人公を宇田清治郎の次男で、秘書を務める晄司にした事で、内容としてはかなり政治よりのポリティカル・サスペンスとなった。
その印象を端的に言えば「ミステリとサスペンスあれど、ドラマとリアリティなし」となるだろうか――素人には難しい政治劇を説明的セリフを語らせながら、このテンポで、この尺でまとめ、勢いで見せ切ったのはいい。実際、自分も観てる最中は勢いに呑まれてしまった。
だが、作りが粗い、と言うか設定と描写に疑問を覚える部分も多い映画で、自分は最後の犯人逮捕に至る展開で、ちょっと覚めてしまった。
また、映画の中で描かれる政治家の”罪”が現実に比べればかわいいものである事や、その一方で、犯人を、社会的弱者とする事、また、政治が行う情報操作や暴力を、目的の為に正当化するのを肯定するような、現在の映像作品としてはどうかと思えるような姿勢でいるのにも、疑問を覚えた。
キャストはなかなか豪華だが、特に絶妙だったのは宇田清治郎の長男を演じた中島歩で、もうそれだけで長男は能なしのボンクラだと判る――まぁ、役がつく、と言うのは気の毒な部分はあるのだけど。
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