mixiユーザー(id:124952)

2023年07月16日23:11

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「ソフト クワイエット」感想

 これは、「ゲット・アウト」の製作プロダクション・ブラムハウスが放つ、全編92分ワンショットの“体感型”サスペンス・スリラー。
 監督は、自ら脚本も手がけ、これが長編デビュー作となるベス・デ・アラウージョ。

 郊外の幼稚園で先生を務めるエミリーは、「アーリア人団結をめざす娘たち」という白人至上主義のグループを結成。
 第1回の会合に集まったのは、エミリーを含め6人の女性。多文化主義や多様性の重視にに反感を抱き、移民を毛嫌いする排外主義者の彼女らは、日頃の不満や過激な思想を共有して大いに盛り上がる。
 やがて彼女たちはエミリーの自宅で二次会を行うことにするが、途中立ち寄った食料品店でアジア系の姉妹ともめ事を起こし、腹の虫が治まらないエミリーらは、姉妹の家を荒らすことを思いつき……

 この映画で描かれるのは、幼稚園の先生のエミリーを含め、コンビニの女性店主や、その店のバイトなど、何処にでもいそうな女性たち――そんな平凡な市民が、ネオナチやKKKに共感し、有色人種や移民に敵意を持っている……とする視点が秀逸。ネオナチと言えば、スキンヘッドで体格のいい若者、と言うイメージをブチ壊し、そうした思想は誰しもが持ち得るのだ、と言う事も示すのだ。これは、ブラジル人と中国人を両親に持つベス・デ・アラウージョが、アメリカ暮しの中で感じている実感から来るものだろうか……
 映画は、女性たちが集う、午後の会合に始まり、それがやがて加速度的に悪い方へ、そして悲劇へと転がり落ちて行く――これを非常に巧妙な疑似ワンカットで描くのだ。映画の中では、午後3時くらいに始まり、最後はすっかり日が落ちているから、勿論、現実にワンカットで撮影している訳もなく、冒頭の集会場での会話劇から、車での移動、夜の湖へ――と言う展開も、ワンカット撮影には向いていないと思うのだが、これを巧みに繋いでいるのにも舌を巻く。
 この疑似ワンカットが余りに巧妙な為に、その手法に興味が湧いてしまいもするし、そこまでの必要があったのか?と言う疑問もあるだろう……ただ、ベス・デ・アラウージョ監督は、ヘイトクライム、いや、差別犯罪とは、一度、踏み込んだら双方共に引き返す事が出来ない泥沼の悪夢だと言う事を描こうとしているように思えた。
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