これは、「パラサイト」にも出演した韓国を代表するバイプレーヤー、イ・ジョンウンの初主演となるヒューマンドラマ。
監督は、「ガラスの庭園」のシン・スウォン。第34回東京国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。
映画監督のジワンはヒット作に恵まれず、3作目の映画も観客席はガラガラ。さすがに次回作を撮る目処も立たない中、1960年代に活動した韓国の女性監督、ホン・ジェウォンの映画「女判事」をイベントで再上映するため、フィルムを補修し、欠落した音声を吹き込む仕事が舞い込む。
作業を進めるうち、ジワンはフィルムの一部が失われている事に気づいて……
この映画だが、2011年にシン・スウォン監督自身が韓国映画初の2人の女性監督の足跡を辿る内容のドキュメンタリーを製作しており、本作はそれを基にした作品だという。(「女判事」も実在する映画とのこと)
クリエイターとして、そして作品作りへの苦悩に、そこに社会における女性の生きづらさを重ね、その上で、男性社会だった映画界で初の女性監督だった、パイオニアの足跡と苦難を描く旅……描かんとする狙いも判るし、作品を貫く映画愛も感じる。
だが、これはさすがに内容を盛り込み過ぎているのではないだろうか?――不在の隣人と、近所で自殺した女性を重ね、怪奇現象じみた展開を見せるのはいささかやりすぎのようにも思えたし、映画としても、ちょっとつかみ所がない、と言うような印象を受けてしまった。
気になったのは、「エンドロールのつづき」、「フェイブルマンズ」、そして本作と、最近、映画、と言うかフィルムへの懐古を誘う物語が相次いでいる事……どんなものでもそうだと思うのだが、「未来」に目を輝かせるのではなく「過去」を懐かしみだしたら、それは終焉が近いのではないか、と……それが、フィルムへの郷愁であればよいのだが……
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