これは、スティーヴン・スピルバーグが映画監督になる夢を叶えた自身の体験を映画化したもの。
1952年、エンジニアの父、バートとピアニストの母、ミッツィに連れられて初めて映画館に行ったサミー・フェイブルマンは、上映されていた「地上最大のショウ」を観て、映画に魂を奪われる。
そして、自身も8mmカメラで、映画を撮影するようになる。
やがて、バートはGE社にスカウトされ、一家はアリゾナに引っ越すが、高校生のサミーは、周囲からユダヤ人差別を受けて孤立してしまう……
この映画、スピルバーグ映画としては、作品スケールが小さい。勿論、家族の映画なので、仕方ないとは言えるけど――まぁ、それでも1950〜60年代の再現に、しっかりお金かけて作りこんでいるのはさすがではある。
興味深いのは、「映画と言うのは全てをコントロール出来る(=作り出す)事」と言う事に惹かれたサミーが、映画の力を思い知るにつれて、どんどん笑顔を失っていくことだろう……家族のサマーキャンプでは、「写したくないもの」まで撮影してしまい、結果として家族を壊してしまうし、ビーチでの卒業制作では、アメフト部のマッチョ野郎を、すごくカッコいい映像で撮って、その内面との乖離までも明らかにしてしまった。
それにしても、あの映像、まるでレニ・リーフェンシュタールの「オリオンピア」そのもの――ユダヤ人のサミーが、そしてスピルバーグが、ナチスの宣伝映画そのままの映像を作ってしまう、と言う部分に「カッコよければいい」と言う、正に映画の魔力に引き込まれたスピルバーグならでは部分を感じてしまったり……
どちらかと言うと、映画を”素晴らしいもの”と言うよりは”魔物”として描き、その魅力に引き込まれる事で、家族が壊れていく……と言う、青春映画としてはいささかほろ苦く、カタルシスもない映画で、その点でも、広く公開される大作と言うよりは、判る人だけに判ればいい、小品と言う印象が強い映画だ。
PS
最後に登場するのは、何と、伝説の名監督、ジョン・フォードとの出会い。(演じるのはデヴィッド・リンチ!)
そこで諭されたのに、その後のラストカットが地平線が画面ど真ん中で、慌ててカメラを振る、と言う、スピルバーグのお茶目さには、思わず笑ってしまった。
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