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2023年02月07日23:28

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「レジェンド&バタフライ」感想

 これは、「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督が、織田信長と正室・濃姫の知られざる物語を木村拓哉&綾瀬はるか主演で映画化したもの。脚本は「コンフィデンスマンJP」シリーズの古沢良太。

 “尾張のうつけ”と陰口を叩かれる織田家の嫡男、信長の元に、“美濃のまむし”と言われる斉藤道三の娘、帰蝶が嫁いで来る。織田家と斉藤家の政略結婚であったが、帰蝶は、父の道三から「隙あらば寝首を掻いてしまえ」と言い含められていた。
 実際、見栄っぱりで格好だけの信長と、知略も武芸も達者な帰蝶は、全くソリが合わなかった。
 だが、今川勢の大軍を前に窮地に陥った信長を、正室となり濃姫と呼ばれるようになった帰蝶は鼓舞し、勝利を呼び込む。それを機に生まれたふたりの絆は、勝利を重ねる毎に強まり、いつしか天下統一を夢見るようになるが……

 この映画、東映の70周年記念作品として、20億円をかけた大作時代劇なのだが、これが全然大作らしくないのだ。信長主役の戦国物語なのに、桶狭間も、長篠の合戦もない。安土城はCGだし、キャストも大作らしくなく安っぽい……家康の斎藤工はまずまずとしても、秀吉が音尾琢真、丹羽長秀が橋本じゅん、って……木村拓哉主演、ジャニーズ全推しだと言うなら、家康を櫻井翔(松本潤、とは言わない)、秀吉を城島茂、丹羽長秀を岡田准一、光秀を中居正広が演じるくらいの事はやってもいいのではないか?かつての“大作”ともなれば、ほんのチョイ役にも名のある俳優を起用したものだ。
 確かに、木村拓哉と綾瀬はるかは悪くない。木村拓哉は、いつも通りのキムタクだが、綾瀬はるかの濃姫は非常に魅力的だ――それにしたって、その最大の見せ場と言うのが、冒頭の初夜の褥での“プロレスバトル”と言うのだから何だかなぁ、と言う感じだ。
 中盤の、京の都で、貧民ら相手の大立ち回りも後味悪く、アクションには定評のある大友啓史監督ならではの痛快な見せ場を作れていないのも惜しい。

 物語としては、これは「胡蝶之夢」なのだ、と思う――帰蝶は、実は胡蝶だと言う説があり、この物語は、歴史上、謎に包まれた存在である彼女の存在を膨らませ、彼女が信長に見せた夢を形にしようとしているのだ、と。
 だが、そうするならば、信長が帰蝶と共に京に上洛し、南蛮人の踊りを舞った所で、示された2つの選択肢――帰蝶と共に南蛮人の船で海を渡るか、帰蝶の夢を乗り越えて日本統一を目指すか――そして、後者をとってしまったが故に、信長は魔王となり、やがて非業の死を迎える……そこで「ああ、帰蝶の夢と共にあれば」と最後に思う、そんな話のはず。
 この映画でも、ラスト前に、そんな「もうひとつの可能性」が描かれるのだが、この物語が本来描くべきは、そちらの「もうひとつの」物語ではなかったのだろうか?――魔王と化した信長が何を行ったのかはよく知られていることでもあるのだし。
 そうした部分で、この映画、描こうとした物語のモチーフはよいとしても、それを描ききれなかったもどかしさを感じます。
 実際、帰蝶と言う想像力を膨らませる事が出来る人物を中心に、信長が、格好ばかりの本物のうつけであった、と言う解釈は大胆なものだし、その設定を元に、「もうひとつの」物語を描いていたら、これは面白いものになったと思うのだが……現状では、何となく慌ただしくも薄っぺらい映画になってしまったように思う。話題作と言うお祭り気分でキムタクファンが観る分にはいいけど、それ以上のものではなかった、と言う感じだ。
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