日曜午後、Kinoシネマみなとみらいで、
「パラレル・マザーズ」。
これは、スペインの巨匠、ペドロ・アルモドバル監督が、同じ日に母となった二人の女性の数奇な運命を描く物語。
主演は、ペドロ・アルモドバル監督のミューズとも言えるペネロペ・クルスで、これが7度目のアルモドバル作品出演となる。
カメラマンのジャニスは、出産を控えて入院した病院で17歳のアナと同室になった。二人は、同じ日に女の子を出産し、再会を誓い合って退院する。
だが、ジャニスはセシリアと名付けた娘と対面した恋人から、「自分の子供とは思えない」と告げられる。そして、ジャニスが踏み切ったDNAテストによって、セシリアが実の子ではないことが判明する。アナの娘と取り違えられたのではないかと疑ったジャニスだったが、葛藤の末に、事実を封印する事を選ぶ。それから1年後、アナと偶然に再会したジャニスは、アナの娘が亡くなったことを知らされて──
この映画だが、奇妙な作りとなっていて、これは、スペインの歴史や、映画の作られた背景についての知識がないと理解出来ないものとなっている。
物語の中心となるのは、2人のシングルマザーの子供の取り違えであり、これで、アルモドバル監督のライフワークである「母性」を巡る物語か、と思っていると、実はこれがテーマではない。
テーマとなるのは、1930年代のスペイン内戦における市民の虐殺であり、スペインはその過去を清算せずに、「恩赦法」により不問として来たのだ。
ペドロ・アルモドバル監督は、この恩赦法には反対の立場で、痛みを伴い、失うものがあろうとも、真実を明らかにせねば、相互理解は得られない、と言う事を、“子供取り違え”を寓話として描く事で示そうとしているのだ。
勿論、そうした背景を理解せずとも、“子供取り違え”を巡るドラマは、その背景まで作り込まれた重厚なものだし、ペネロペ・クルスも非常に魅力的に描かれていて、映画としては充分以上に面白く、見応えもある。
だが、この物語を寓話とする、その背景が生み出す不協和音や物語の着地点など、この映画の普遍性を失わせているようで、いささか残念にも感じた。
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